8月6日に幕を開けた、第104回全国高等学校野球選手権大会。予選を勝ち抜いた49校が、高校野球日本一をかけて甲子園の地で熱闘を繰り広げている。ここでは、カープ選手の高校時代を振り返る。

 2017年夏の甲子園で本塁打を連発し、 高校野球ファンに強烈なインパクトを残した中村奨成。 高校時代の思い出と、一躍全国区となった3年夏の甲子園など青春時代のさまざまな思いに改めて迫った。(数字は全て取材時点)

広陵高出身のカープ・中村奨成

◆甲子園での本塁打記録よりも、3年夏の広島大会優勝が思い出

 小、中学校のときから広陵の試合をテレビで見ていて、『強いな』というイメージでした。

 全国的にも野球名門校ですし、広島県の野球少年なら『広陵』と聞くと憧れを持つ子も多かったと思います。実際そこに入学できて、1年生のときから背番号をつけて試合に出させていただくことがすごく不安でしたし、入学当時は自分のことで精一杯でした。

 高校時代の思い出はあり過ぎます(笑)。練習で忘れられないのが広陵伝統の練習である『45秒』です。ホームベースからライトとレフトポール付近にカラーコーンを置いてできる三角形を、三塁側から時計回りにダッシュして45秒での完走を目指すというものです。1年生のときに初めて走った際のしんどさは、忘れられません。野球の技術的な練習はもちろんたくさんやりましたが、精神的に一番鍛えられたのは、あの45秒ですね(苦笑)。

2017年、夏の甲子園で1大会6本塁打をマーク。清原和博氏の持つ記録を塗り替えた中村奨成。

 印象に残る試合も多くあります。周囲の方々からは3年夏の甲子園での本塁打記録をすごいと言われることが多いですが、正直、僕はあまり気にしていない部分があります。ただ、そういう記録をつくった以上、話題に上がることもありますし、覚えていただいていてありがたいことです。

 僕の中では3年夏の広島大会で優勝を決めたときが印象深くて、あの時が一番うれしかったですね。1年生の頃から試合に出させていただく中で、2年連続で準決勝で悔しい思いをしていました。僕らの代でも準決勝で負けそうでしたが、突破したときはホッとしましたし、決勝で勝てたときは『やっと広島県の頂点に立てた』という思いがありました。なにより、仲間が必死に応援してくれる中で優勝できて、みんなが泣いて喜んでいる姿を見たときに、いろんな思いが込み上げてきて、忘れられない瞬間ですね。

 また高校時代は中井(哲之)監督に大変お世話になりました。当時は怖い先生というイメージでしたが(苦笑)、今では本当の親父みたいな存在です。テレビで見ていた方が目の前にいて、その人と一緒に野球をしていると思うとすごく光栄でしたし、今でも尊敬しています。今もすごく気にかけていただいていて、僕が感じているだけかもしれませんが、中井監督も親父のような感覚で僕に接してくださっていて、本当に感謝しています。

 卒業して数年経ちますが、高校3年間で素敵な仲間に出会うことができて、話を聞いてくれる人はたくさんいます。今もそういう頼れる存在がいるというのは心強いです。高校時代の仲間たちから舞台は違えど活躍している話を聞くと刺激になりますし、僕も負けていられないと思っています。

 そして、広陵での3年間では、野球だけではダメだと気づかせてくれました。それを教えてくれたのが中井監督でした。

 人間的に僕もまだまだですが、そういった部分を中井先生をはじめ、周囲の仲間たちにも成長させてもらった期間だったと思います。

 今高校野球を頑張っている高校球児のみなさんは、コロナの影響を受けて本当に辛いと思います。もし僕が当時同じ状況だったら……と想像すると、心が折れそうになると思います。それでも負けずに野球に打ち込むみなさんはすごく強いと思います。

 高校野球というのは、一生に一度しかない時期です。とにかく悔いを残すことなく野球をやって、甲子園を目指して頑張ってもらいたいです。そしてなにより、その3年間で出会った仲間のみんなを大事にしていってほしいですね。

中村奨成◎なかむらしょうせい
1999年6月6日生、広島県出身/181cm・81kg/右投右打/捕手/プロ5年目・23歳
広陵高-広島(2017年ドラフト1位)