◆3年目のシーズンがスタート

 前年の反省から指導法を変化させてシーズンに臨んだが、またしてもうまくいかなかった。自分の中では変化したという手応えがあったが、それが結果に結びつかなかった。自分とチームの変わった部分、変わらなかった部分を改めて見つめ直すことが、シーズンオフの宿題になった。

 ただ、収穫もないわけではない1年だった。数字的にも前年から改善したし、何より夏場の盛り返し、一瞬ではあるが「今年はいけるかも」という空気をつくれたことは今後に繫がるものである。

 次の課題は、勝たなければいけない試合を勝ち切ること。「ここで負けたらダメ」という試合でいかに踏ん張れるか。「ここぞ」という試合を勝ち切るにはどうしたらいいのか―それが僕たちに与えられた翌年に向けてのミッションとなった。

 優勝を掲げながらも5位、5位ときて、いよいよ3年目のシーズンが始まった。毎年この1年に懸けるという気持ちで臨んでいたが、2012年は本当にラストシーズンという意識が強かった。そのせいだろうか。まずはコーチ陣に対する態度が変化した。自分のやりたいことをはっきり示すようになったし、それとともに口調が厳しくなった。具体的には「これはこうやります」「このようにします」と断言するような物言いが多くなった。

 練習の方針にも改良を加えた。僕が監督に就任して以降、練習はとにかく厳しく、かなりの量を求めてきたが、意図が見えない練習は排除することにした。内容を精査して、目的のはっきりしたものだけをやり切ることに変えたのだ。