8月9日のヤクルト戦で今季初の完封勝利をあげた森下暢仁。残り試合、先発陣のキーマンとして活躍に期待がかかる。

 熾烈なCS争いを繰り広げられるセ・リーグ終盤戦。混戦になればなるほど、一戦の重みが増してくる。

 緊迫した試合が続くことが予想される終盤戦で気になるのは「カープキラー」の存在だ。

 先週のヤクルト戦では、森下暢仁が完封勝利するなど、カープを得意にしている打者が多いヤクルトを相手に3タテを決めたが、まだまだ油断は禁物だ。

 カープ投手陣の応援に力が入るセ・リーグ5球団の打線のキーマンをおさらいしたい。
※成績はすべて8月14日時点

◎塩見泰隆(ヤクルト)

【今季成績】
打率.291/13本塁打/41打点/23盗塁/出塁率.373

【今季カープ戦成績】
打率.300/2本塁打/9打点/8盗塁/出塁率.354

 食い止めたいのは村上宗隆と言いたいところだが、8月9日、森下暢仁が完封を決めた試合でも村上は3安打。もはや止められない存在と化している。

 3連勝を通じて見えてきたのは、リードオフマンの塩見泰隆を止める必要性だ。初戦では森下が4打数0安打に抑えきり、3戦目は4打数1安打に抑え込んだ(2戦目は塩見の出場なし)。

 このところ打順を模索しているヤクルトだが、ベスト布陣は1番・塩見泰隆、2番・山崎晃大朗。今季打率.250の山崎だが、ケースバッティングに長けており、ランナーがいないときの打率.204に対し、走者一塁では打率.345に跳ね上がる。

 山田哲人、村上宗隆、サンタナのクリーンアップの打点を防ぐためにも連動する1~2番は何としても封じたい。

◎牧秀悟(DeNA)

【今季成績】
打率.280/17本塁打/62打点/3盗塁/出塁率.348

【今季カープ戦成績】
打率.343/4本塁打/14打点/0盗塁/出塁率.390

 DeNA打線は概ね平均点で抑えているカープ投手陣だが、4番に座る牧秀悟だけは天敵。森下から16打数5安打、大瀬良大地から12打数4安打とDeNA戦で登板機会が多かった先発投手をがっつりと捉えている。またリリーフ陣も全体的に牧とは相性が悪い。

 ただ、今週後半の3連戦では、5打数1安打に抑えている遠藤淳志や二軍で好調だった大道温貴が投げることが予想される。ローテ代わりをきっかけに流れを変えてほしい。

◎中田翔(巨人)

【今季成績】
打率.301/15本塁打/40打点/0盗塁/出塁率.370

【今季カープ戦成績】
打率.343/4本塁打/14打点/0盗塁/出塁率.463

 今季は岡本和真、ポランコ、ウォーカーらを抑え込み、巨人戦は怖いものなし…と言いたいが、復調ムードを飛び越えて、4番に座っている中田翔は要警戒。丸佳浩も広島戦では比較的打っており、この2人との対戦は手に力が入る。

 さらに坂本勇人が復帰間近だが、前半のカープ戦では、9試合で打率.438、3本塁打、出塁率.550と打ちまくっていた。

◎近本光司(阪神)

【今季成績】
打率.297/1本塁打/25打点/22盗塁/出塁率.360

【今季カープ戦成績】
打率.321/0本塁打/4打点/3盗塁/出塁率.361

 ここまでカープ投手陣は佐藤輝明を打率.269、1本塁打、大山悠輔を打率.179、2本塁打に抑えており、対阪神戦も12勝4敗2分。恐れるほどの打線ではないが、やはり3番・近本光司は難敵。現在、近本はコロナ特例で休養中だが、今月末の対戦までには戻ってくるだろう。

 ただ、ここまで近本を止めていたのは床田寛樹。阪神戦5試合で17打数3安打と近本を封じたが、床田がいないとなれば、水を得た魚になりかねない。

 またこのところトップバッターに座っている島田海吏も対広島戦打率.359。今季の阪神は投手陣が出色の好調であり、島田、近本の出塁を阻止し、接戦をモノにしたい。

◎ビシエド(中日)

【今季成績】
打率.280/11本塁打/45打点/1盗塁/出塁率.332

【今季カープ戦成績】
打率.365/3本塁打/14打点/1盗塁/出塁率.412

 今季、全体的には迫力を欠いているビシエドだが、カープ戦になると人が変わったように打ちまくる。ただ、アンダーソンだけは6打数無安打と絶好の相性だった。現在、アンダーソンはコロナ陽性となりファーム調整中だが、最終盤のキーマンになるかもしれない。

 またブレイク中の岡林勇希も広島戦打率.365、出塁率.420、4盗塁とかき回してくる。