8月21日終了時点で53勝59敗3分。3位まで2.5ゲーム差の4位につけるカープ。残り28試合。Aクラス入りに向けて負けられない試合が続く。今回は、主力離脱が続いたチームを救った若手選手について、OBの笘篠賢治氏に語ってもらった。

8月16日の中日戦でプロ初本塁打を放った矢野雅哉

◆好守で投手を支えた矢野と韮澤のプレー

 一番恐れていたコロナの集団感染が起こってしまい、佐々岡監督含め、何人もの選手・スタッフが離脱してしまいました。東京遠征から戻ってきての発覚。長距離移動、気をつけていても感染してしまいますから怖いですよね。これ以上増えないことを願います。

 そんな中で迎えた、8月16日からの中日戦は2連勝と幸先の良いスタートを切ることができましたが、その後4連敗と苦しい結果となりました。

 野手は菊池涼介、野間峻祥、小園海斗、上本崇司といった主力クラスが欠けてしまい、変わりに韮澤雄也、矢野雅哉、羽月隆太郎といった若手が一軍に上がってきました。

 どういった打順を組むのか注目していましたが、一番に起用された堂林翔太が、8月16日の中日戦でいきなり先頭打者本塁打。今季は苦しいときによく打ってくれます。精神的に大きく成長していますよね。

 センターラインの二遊間が離脱して、経験の浅い若手が起用されていますが、守備もよく頑張っていました。

 二塁で起用された韮澤は、8月17日の中日戦で8度の守備機会がありましたが、見事に役割をこなしていました。失策が一つありましたが、あとは良い守りを見せていました。失策に関しては右打者の差し込まれた打球を焦って処理してしまい、すぐに投げようとしたためミスが起きましたが、冷静にやれていれば問題ないと思います。

 遊撃手を守った矢野も、同じ試合の11回表に大きいプレーを見せてくれました。2死一二塁から、ビシエドの三遊間の深いところに転がった打球を滑り込みながら捕って、そのままの体勢で二塁に送球してアウトにしました。基本を大事にして、しっかりと足を使った守りができていますよね。恐れることなく、今までやってきたことを出すしかないですから、このまま生き生きとプレーを続けてもらいたいです。

 矢野は打つ方でも、8月16日の試合で右のエース・柳裕也からプロ初本塁打。インコースの球を、反応でクルッと回って打ちましたが、あれはボディーバランスが狂っていたらできないですからね。逆方向にファールを打つなど、粘って出塁率を上げるスタイルにも関わらず、しっかりと反応し、引っ張って打てたのは見事でした。

 矢野の本塁打の時は、坂倉将吾の喜び方が最高でしたね。自分のこと以上に喜んで、飛び跳ねていた姿が目に焼き付いて離れません。一軍と二軍の垣根があるわけではなく、ワンチームになっているというのを感じさせられるシーンでした。

 8月19日からのDeNA3連戦は勢いにのまれてしまいましたが、3位の阪神まで2.5ゲーム差。まだまだ大事な戦いが続きます。最後まで諦めず、勝ちたいという気持ちが伝わってくる試合を見せてもらいたいですね。