シーズン後半戦も佳境を迎え、連日、激しい戦いが続いているカープ。今シーズン、投手陣では、床田寛樹が“左腕エース”として大きく飛躍を遂げようとしていた。

 序盤から先発の柱として期待通りの活躍を見せ、順調に勝ち星を積み上げていた矢先の8月3日、DeNA戦で右足首を負傷し、無念の長期離脱。Aクラス入りを争うチームにとっても大きな痛手となった。

 ここでは早期復帰が待たれる左腕が語った、昨シーズンからの “心身両面の進化”をお送りする。二軍での調整期間中、「何かを変える」ために床田が取り組んだこととは。(※取材は7月下旬)

7月末までに8勝をあげ、勝ち頭として活躍を見せていた床田寛樹。

◆二軍での調整期間で手に入れた、フィジカル・メンタル両面の進化

ー今シーズンは7月30日(取材日)の時点で、チームトップタイの8勝6敗、防御率は2.84と、チーム単独トップの成績を残されています。ここまでのご自身の投球を、どのように評価していますか?

「今シーズンはここまで勝ちもついていますし、あとはもう少し負けを減らすことができれば良かったかなと思っています。好調に来ることができている要因の一つは、昨シーズンに比べて真っ直ぐの平均スピードが上がったことです。ウエイトを増やした結果出力が上がり、球の威力も増してきました」

ーウエイトを増やそうと取り組み始めたのは、いつ頃からだったのでしょうか? また、そう考えるようになったきっかけを聞かせてください。

「きっかけは、九里亜蓮さんからのアドバイスです。昨シーズン、二軍で調整をすることになった時に亜蓮さんから電話をもらって、そこで『もう一度ウエイトの量を増やして、体をつくり直すということに取り組んでみても良いんじゃないか』とアドバイスをしてもらいました。僕自身も『何かを変えなければならない』と感じていたので、亜蓮さんからのアドバイスも含めてトレーナーに相談したところ、すごくいろいろと考えてメニューを組んでくれました。その結果、体も大きくなり、球速にも良い影響が出ているのだと感じています」

ー今シーズン、床田投手が登板された試合で、特に印象に残っている試合はありますか?

「いろいろな意味で印象に残っているのは、甲子園での完封勝利ですね(5月10日、阪神戦)。投球の調子そのものは5月31日の日ハム戦の時のほうが良かったですし、阪神戦では打球が当たるアクシデントなどもあったのですが……。そんな中でも最後まで投げ切ることができたという意味でも、自信につながる印象深い一戦になったと思います」