新守護神として抑えを担当したフランスア投手だが、大事な場面で痛打を浴びるシーンも目立った。

 8月6日のピースナイターでDeNAを下し、首位・巨人とのゲーム差を『1』としたカープ。昨季までならここから一気に巻き返す姿が見られたが、今季はその神通力が見られず、終盤戦に入ると“ここ一番”のゲームで勝ち切れないチーム状態を露呈してしまった。

 負の予兆が見え始めたのが、8月10日の阪神戦だ。フランスアが逆転サヨナラ3ランを浴び土壇場で白星を逃すと、翌日もフランスアが連打を浴び逆転負け。首位とのゲーム差が『3.5』と広がり、三つ巴の優勝争いから一歩後退を余儀なくされてしまった。

 同月14日に自力優勝の可能性が消滅すると、その後はバティスタ離脱も影響したのかタイムリー欠乏症に見舞われた。そして今季最大の山場と見られた8月末の巨人、DeNAとの6連戦では、各カードとも1勝2敗で連続負け越し。すぐそこに見えていた巨人の背中は遠のき、リーグ4連覇は限りなく難しいものとなった。

 昨季は首位攻防戦でことごとく2位チームを叩くなど、ここ一番の試合で無類の強さを誇った。ところが今季はあと一歩のところで失速を繰り返すという、やや消化不良のシーズンとなってしまった。

 大型連敗があったとはいえ、8月上旬の段階では十分に首位を狙える位置には付けていた。“たられば”は禁物だが、仮に阪神戦での逆転負けがなければ………。一度波に乗れば大型連勝をつくり出せるチームだっただけに、勝負所での失速がなんとも悔やまれる。