天皇杯 JFA 第102全日本サッカー選手権大会・決勝戦が、日産スタジアムで行われた(10月16日)。

 6度目の決勝進出、東洋工業時代以来53大会ぶりの優勝を目指す広島と、初優勝を狙う甲府の一戦。試合は延長戦でも決着がつかず、天皇杯決勝としては実に32年ぶりのPK戦へと突入する激戦となった。

甲府の表彰式を見つめるサンフレイレブン。

 試合前半、広島はロングボールで前線に運ぼうとするものの、ことごとく甲府にカットされ波に乗ることができない。攻めあぐねる中、前半26分には甲府FW・三平和司のゴールで先制点を奪われ追う展開に。しかし後半に入ると徐々にパスがつながり始め、相手陣内に押し込む展開が増えていく。そして迎えた後半39分、途中出場のエゼキエウがドリブルで相手を剥がし攻め上がると、パスを受けた川村が放った角度のない位置からのシュートがゴールネットをゆらし、土壇場で同点に追いついた。その後はこう着状態が続き、試合は延長戦に突入する。

 延長戦後半には、満田誠が相手のハンドを誘ってPKを獲得。ここで勝負あったかに思えたが、満田のシュートは甲府のベテランGK・河田晃兵に阻まれ、勝負の行方はPK戦へともつれこんだ。

 広島、甲府ともに3人目のキッカーまでは危なげなくPKを成功させ、広島の4人目のキッカーは、この日貴重な同点弾を上げた川村。しかし『天皇杯連続無得点』の呪縛を振り払った若きMFが放ったボールは、またしてもGK・河田に阻まれ、広島は後がない状況に追い込まれる。5人目のキッカー・満田も冷静に決めたものの、5人全員がPKを決めた甲府が初の天皇杯優勝。J2勢としては、2011年のFC東京(当時)以来となる快挙を成し遂げた。

試合後にはピッチ上で涙を流した満田誠。

 広島は、22日(土)にもC大阪とのルヴァン杯決勝(国立競技場)を控えている。