10月20日、いよいよ2022年プロ野球ドラフト会議が開催される。カープは事前に斉藤優汰(苫小牧中央)の1位指名を公表。新井貴浩新監督の初仕事となるドラフト会議に注目が集まりそうだ。

 ここではカープ選手が振り返る、自身とドラフトの思い出をお届けする。2018年10月のドラフト会議で指名漏れを経験した栗林は、社会人の名門・トヨタ自動車に進んだ栗林は、2年後の2020年、1位指名でプロの世界へと飛び込むことになる。

 プロ1年目にクローザーに抜擢されると37セーブをあげ、2年目を迎えた2022シーズンも、30セーブ以上をあげる活躍を見せた栗林が語った『ドラフト会議』への思いとは。

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◆夢が叶った2020年のドラフト。位指名でプロの舞台へ

2022シーズンは31セーブをマーク。山﨑康晃(DeNA)以来の、『新人から2年連続30セーブ以上』の記録を打ち立てた。

─社会人時代は、比較的落ち着いた心境でドラフトを迎えられたのですね。大学から社会人に進んで、心境の変化があったということでしょうか。

「もちろんプロに行きたいという気持ちは持ち続けていましたが、それは、アマチュア野球が嫌だからプロに行きたいというわけではなく、純粋に、野球選手としてプロの世界に挑戦したいという思いがあったからです。社会人時代は、たとえドラフトにかからなくてもトヨタで野球を続けられたらいいと考えていたので、大学時代のように、ドラフト当日をものすごく意識して待っていた、という記憶はないですね」

─2020年のドラフト当日は、どのような状況で指名を待たれていたのでしょうか。改めて聞かせてください。

「当日は、会見場に部長さんと顧問の方、監督さんたちと集まって、比較的ラフな雰囲気で待っていました。すごく緊張するということもなく、『かかりますかね? どうですかね?』と話していたことを覚えています。カープから1位で指名をされた時には、大学時代の山内監督とテレビ番組の企画で電話をする機会があったので、改めて、『プロに入って終わりではなく、そこからが大事だよ』というアドバイスをしていただきました。僕は当時結婚していたので、妻には『ここから一緒に頑張っていこうね』と声をかけてもらいましたし、父にも『夢が叶ってよかったね』と激励してもらいました」

─担当スカウトである松本有史スカウトとは、アマチュア時代から面識はあったのでしょうか。

「いえ、全くありませんでした。初めてご挨拶をさせていただいたのは、ドラフト会議が終わってからです。もともと球場にはよく見に来ていただいていたようですが、僕の方からスカウトのかたに挨拶をしにいくこともなかったので、特に接点はありませんでした。もしかすると球場でお会いした時に少し言葉を交わしていたことがあったかもしれませんが、初めてしっかりとお話させていただいたのは、ドラフト会議が終わった後でしたね」

─スカウトの方々が球場に来られると、選手の立場からしても、意識してしまうものですか?

「そうですね。やはり、スカウトのかたが見に来ているかどうかは気になっていました。大学時代や社会人時代には、チームメートと『今日、スカウトの人が来ているね』という話にもなっていました。ただ、選手の間で話題になるのは『どこの球団から視察に来ているのか、何人来ているのか』がメインで、スカウトのかたの名前や、どういう人なのかというところまでは気にならないのではないかと思います。ただ、スカウトのかたが球場に来ているのは選手からも分かりますから、そういう時の練習試合では『いいところを見せたいな』と思って、いつも以上に、自然と気合が入ることもありました」