新しく新井貴浩が監督に就任するなど、来季に向けてスタートを切ったカープ。オフシーズンは来季の躍進に向けて大切な時間となる。ここではOBの笘篠賢治氏に、オフだからこそ取り組みたいことについて語ってもらった。

オフシーズンを経て、来季のカープがどう変わっていくか、注目が集まる。

◆計画・実行だけでなく、確認作業も大事

 11月からの秋季キャンプは、野球をしっかりと覚える時間に使ってもらいたいです。どうやってランナーをためていくのか、どうやって一、三塁のケースをつくっていくのかなど、それぞれがテーマを持って、野球の流れや相手に嫌がられるプレーを意識しながら、実戦的なシチュエーションを想定して取り組んでもらいたいです。それがチーム力を上げていくことにつながっていきます。

 そしてオフの間に他球団について研究する必要があります。なぜヤクルトに思うように勝てなかったのか。なぜ阪神に前半戦あれだけ勝てたのか。チームとして、そして個人として、そういった振り返り作業が大事になってきます。

 目的意識を持ち、実践して確認の繰り返し。ヤクルト時代に野村克也さんに「計画して、実行するだけではなく、さらに確認する作業が大事。なぜできたのか、なぜできなかったのか。それの繰り返しだ」のようなことをよく言われていました。

 これは野球以外においてもそうかもしれませんね。確認する作業がなければ、同じ失敗をしてしまいます。できたこともうまくいったから大丈夫ではなく、なぜできたのか振り返らないと意味がありません。来年の2月まであっという間です。練習しながら、考える時間も大事にしてもらいたいです。

 また、10月22日からヤクルトとオリックスの日本シリーズが始まります。前にも話したことがありますが、ヤクルト時代の1991年、野村さんの指示で、日本シリーズを戦う広島対西武の試合レポートを、選手たちは書いていました。他球団同士の試合でも、打者に対するリードの仕方など、勉強になる部分は多いですからね。特に若い選手たちは日本シリーズを見て、来年にいかしてもらいたいです。

 ヤクルト同様に、オリックスも2年連続でリーグ優勝からの日本シリーズ進出。オリックスは、カープの二軍監督を務めた経験がある水本勝己ヘッドコーチの存在も大きいと感じています。そういった意味では、来季から新井貴浩新監督を支えるヘッドコーチを担うであろう藤井彰人が、チームにどんな変化をもたらしてくれるか注目したいです。