阪神、巨人との激しいCS争いの末、2022年シーズンの順位は5位に終わった佐々岡カープ。今回は佐々岡監督体制の3年間における野手起用と攻撃面について、OB笘篠賢治氏が見解を語っていく。(本文中のデータは全て10月14日現在)

その守備で佐々岡カープに大きく貢献してきた菊池涼介。若手に積極的に指導する姿も見られた。

◆過渡期を迎えた中でも、存在感を示した若手たち

 10月2日のシーズン最終戦で、佐々岡真司監督が辞任を発表しました。私個人としてはもう少し佐々岡監督の野球を見たいなと思っていた矢先の寂しいニュースでした。

 佐々岡体制は3年で終わってはしまいましたが、私個人としては『もう少しで佐々岡監督の野球が花開くときがくる』と思っていただけに、辞任されるのは残念でした。今シーズンは、最後の最後までクライマックス・シリーズ進出を懸けた激しい争いをしていたのですが、勝ちきれなかったというのは、監督としてすごく責任を感じた部分だと思います。

 ここからは改めて、佐々岡カープ3年間の野手起用、攻撃面について、私なりの見解で振り返っていきたいと思います。

 まずは3連覇時に1、2番コンビとして活躍した田中広輔、菊池涼介についてです。佐々岡監督初年度となった2020年当時、チームとしては3連覇した布陣から過渡期を迎えていた時期からのスタートでした。リーグ5位という結果でしたが、チーム打率はリーグ2位と打撃面は良い数字を残しました。3連覇当時、カープの上位打線は田中、菊池のタナキクコンビが不動の1、2番として打線を引っ張っていました。しかし、3連覇時に1番を打っていた田中が2019年に故障して以来、なかなか3連覇時のように1、2番を固定することができず、機動力を使った攻めが展開できなかったと思います。

 菊池についてですが、佐々岡体制においても円熟期に入った守備力で大きく貢献してきました。特に2020年は二塁手として守備率10割を達成と大記録を達成しました。ただ、菊池もコンディションが万全ではない場面も増えてきた中で、今後は菊池が活躍する間に将来の二塁手候補を育成することも課題になるでしょう。2022年の春季キャンプでは、精力的に若手選手に守備を指導する場面がありました。若手内野手はこうした菊池の姿を見て、さまざまなことを学んでいってほしいと思います。