◆佐々岡体制で躍動した若手が、未来への光

 最後に、佐々岡体制最終年となった今シーズンを振り返ります。鈴木誠也がチームを去り、打撃面では不安視される中でのスタートでした。そこで佐々岡監督はキャンプの時から機動力を意識させた野球を目指してきました。

 実際にふたを開けてみると、手堅く、バントを多用する場面が目立ちました。犠打数の多さなどがスモールベースボールの一部でもありますが、1点を重ねていくという野球の中で、爆発力という点では、新外国人であるマクブルームがどれだけやってくれるか? というのがポイントになる部分がありました。そういう状況もあって、手堅い野球にシフトチェンジしたのかもしれません。

 1点を確実に奪いにいくのは良いのですが、逆に2点、3点とビハインドとなった場合、それを跳ね返す、ひっくり返すという破壊力がなかなか生まれなくなってくるだけに、得点力という面では苦しいところがありました。

 3連覇当時のカープの攻撃は、投手陣が踏ん張り続ける中で、終盤に打線が奮起して、数多くの逆転勝利を収めてきました。『逆転のカープ』のような怖さが生まれなかったのは、寂しかった部分です。 佐々岡体制でさまざまな出来事がありましたが、強いチームを作り続けるというのが、いかに大変かということも感じました。

 しかし、この3年の中でも数多くの若手選手が成長し、未来への光がありました。この3年間、チームはBクラスが続いてしまいましたが、佐々岡監督が蒔いた種に、次の監督がさらに水をやり、花を咲かせてほしいものです。

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