2019年・ドラフト1位。2020年・新人王。2021年・五輪金メダリスト。 プロ入り後、森下暢仁が歩んできたここまでの道のりは、常に輝かしい記録とともにあった。
迎えた3年目の2022シーズン、先発陣で唯一ローテーションを守り抜き、2度目の二桁勝利をマーク。 球団の日本人投手としては23年ぶりとなる、2試合連続完封も成し遂げた。 最終登板を終えたばかりの右腕が語った、独占ロングインタビューをお届けする。
(取材は10月上旬に実施)
◆今シーズンの課題を克服し、2023年のさらなる飛躍を誓う
─2試合連続完封は、2016年のクリス・ジョンソン投手以来、日本人投手としては、1999年の紀藤真琴投手以来23年ぶりの記録です。3試合連続完封であれば球団記録となりましたが、3戦目のマウンドに向かう以前から、そうした記録について知っていましたか?
「意識はしていました。ただ、なかなか達成できることではないだろうという思いもありました。8月9日のヤクルト戦は、自分自身うまくいっていない時期でしたし、チームとしてもうまくいっていない時期でもありました。そんな中で0を並べることができたというのは、自分としても、少し気持ちが楽になった試合でした」
─では、8月16日の中日戦はいかがでしょうか。2試合連続完封を意識したのは、何回でしたか?
「あの日の試合も、特に完封を意識してマウンドに上がったわけではありませんでした。とにかく、まずは先発として試合をつくって、チームに勝利をもたらしたいという思いだけでした。8回を投げ終わった時点で、僕自身、正直なところ『しんどいな』という思いもありましたし、そこまで完封へのこだわりもなかったので、『9回は交代かな』とも感じていました。ただ、ベンチでたまたま隣にいた(西川)龍馬さんに『行けよ』と言われたんです。あの時は、佐々岡監督を始め、7人の選手がコロナウイルスの陽性反応でチームを離れていた期間でもありました。龍馬さんに声をかけてもらったことで、投手コーチの方とも話をして、9回も投げることを決めました」
─この試合、対戦相手である中日の先発は、明治大の先輩にあたる柳裕也投手でした。森下投手はメディアのインタビューでも、柳投手とのエピソードをよくお話しされていますが、やはり登板前から意識をされるものでしょうか?
「そうですね。ローテーションも事前にわかっていましたし、『何曜日に投げます』といった連絡は、いつも取り合っていました」
─今シーズンは、遠藤淳志投手や玉村昇悟投手など、若い先発投手の台頭も目立ったシーズンでした。年下の選手の活躍を、どのようにご覧になっていましたか?
「僕自身は、年上年下関係なく、先発の投手全員と競争していると思っています。そういう部分では、周りの選手の活躍が自分自身のいい刺激になればという気持ちと、『競い合う』という姿勢を見せながら、一緒にやっていければいいなという気持ちでした」
─プロの世界に入り、3年目のシーズンが終了しました。この1年間を振り返って、どんな収穫と課題がありましたか?
「そうですね。課題としては、少ない点数でゲームをつくるということと、ランナーを出してセットポジションになってからの投球という部分で、うまくいかない試合が続いた時期がありました。シーズン中に、そうした一つひとつの課題をクリアしながら投げ続けることができればよかったのですが、なかなかうまくいかない試合もありました。これからは、今シーズン感じたそうした課題をクリアにするために取り組んでいければと思っています」
─最後に、今シーズンも最後まで応援してくださったカープファンのみなさんに、森下投手からメッセージをお願いします。
「今シーズンも、熱い応援をありがとうございました。僕が2020年に入団してから今シーズンまで、なかなかCS進出や優勝争いをすることができていません。僕自身も、ここまで応援してくださったみなさんに申し訳ないという思いもあります。来シーズンは、しっかりとした姿で、もっともっと勝てるように頑張りたいと思います。これからも、応援よろしくお願いします」
もりした・まさと
1997年8月25日生、大分県出身
180cm/78kg/右投右打
大分商ー明治大ー広島 (2019年ドラフト1位)