◆2011年から選手の指導はコーチに一任

 2011年から僕は選手の指導はコーチに一任する方向にシフトしていたが、そこで気をつけたのは僕とコーチの意見がズレないようにすることである。僕とコーチで言っていることが異なると選手も混乱するし、チームに対して不安を感じてしまう。良かれと思って口を出したことが、コーチの教えを否定することになりかねない。

 だから僕は現場では各コーチがどんなことを教えているか黙って観察していた。仮に選手に何か伝える際には、まず最初に「コーチは何と言っていた?」ということを必ず尋ね、

「もし参考になるのなら使ってみて」という言葉を忘れなかった。あくまでも指導の責任者はコーチであり、僕のアドバイスは参考程度でしかない。その部分をはっきりさせたのだ。

 徐々に整備されてきた投手陣だったが、僕はこの年はよりいっそうの充実がなければ戦えないと考えていた。一軍だけが揃えばいいという状態ではダメだ。欲を言えばローテーションが2つ組めるくらいの陣容がないとシーズンを戦い抜くことはできない。

 2012年までは「若い投手が出てきてやっと駒がそろったな」と喜んでいたが、やはり全員が1年間ケガなく安定した成績を残すことは難しい。選手の体調不良や入れ替えは必ず起こるし、そのためには全体のレベルアップが不可欠だ。

 それに関しては、この年中日から獲得した久本祐一が先発、中継ぎとユーティリティ性を発揮して投手陣を支えてくれた。あとは伸び悩む福井優也を中継ぎにトライさせたりして、なんとか復調できるよう見守った。