2021年、初の規定打席に到達し、鈴木誠也と首位打者争いを演じた坂倉将吾。主軸として期待された2022年シーズンは、本職である捕手のポジション以外に一塁手・三塁手にも挑戦し、チーム唯一となる全試合フル出場を果たした。

 坂倉が語る印象的な試合、そして、秋山翔吾から受ける影響とは。チームの主軸に成長した坂倉が今シーズンを振り返った思いをお届けする。

2022年シーズンも打線の中心を担った坂倉。来季は本職である捕手に専念することが報道されている。

◆「辛い経験と良い経験の繰り返しの中で、そこに自分が負けてはいけないと感じています」

─昨年は初めて規定打席に到達され、鈴木誠也選手(現・カブス)と首位打者争いをされました。今シーズンも、1年を通して主軸を任されるなど素晴らしい結果を残されましたが、打撃面で昨年と比べて、技術的に変えたことや、気持ちの面で変えたことなどはありますか?

「特にないのですが、やはり、状況状況で、求められるバッティングがあるので、それに最低限応えられるようにということを、今年の1つのテーマにしていて、役割をちゃんと全うしたいなという思いはありました」

─特に印象に残った試合や打席はありますか?

「6月22日の阪神戦(マツダスタジアム)で宇草孔基さんが11回にサヨナラホームランを打って勝利した試合で打ったホームランです。10回に1点ビハインドで、自分の打席が回ってきたのですが、相手投手は真っ直ぐがものすごく良いアルカンタラ投手でした。2ボールからその球を一発で捉えられたというのは良かったなと思いますね」

─絶体絶命の場面でのホームランに、ファンのみなさんも勝利への期待が膨らんだ一発でした。また、9月4日のDeNA戦では、坂倉選手のキャリアハイとなる13号目、なおかつ満塁ホームランが印象的でした。あのホームランの感触、バッターボックスに入る際の気持ちなどは今でも覚えていらっしゃいますか?

「そうですね、あの頃、自分の状態もあまり良くなったので、打席に入る前にいろいろコーチとも話をして、狙い球を絞ったり、方向性を出すなり、色々考えて打席に立ちました。1つ自分の中で決め事をつくって打席に入って、それを実行できたことは良かったなと思います」

─しっかりと目的を持って、打席に入られてのあの一発だったんですね。

「そうですね。ただ、感触としてはあまり良くなくて、先っぽだったので、入るか入らないかなという感じで、入ってくれて良かったなと思いましたね(笑)」

─それでは、少し話を変えて今シーズンのトピックスを上げさせていただきます。6月に実績も経験も豊富な秋山翔吾選手がメジャーからカープに入団されました。同じ左バッターとして、影響を受けていることはありますか?

「あれだけ、実力と言いますか、結果を残されている方なので、影響がないわけはなく、すごく大きな存在ですね。また、久々の日本でのプレーということもあり、ピッチャーの入り方などを逆に聞かれることもあるので、聞いてくださることで自分もリセットして、そのピッチャーに対して、入っていけたりすることもあります。そのあたりのコミュニケーションや情報交換もしっかりしてくださいますし、こちらとしてもありがたいことですね。あと、ロッカーも隣同士なので、いろいろコミュニケーションが取れているのかなと思います」

─ロッカーがお隣なんですね。年齢関係なく、お互いが切磋琢磨し合っているという素晴らしい関係性ですね。

「そうですね。アキさんがそういう感じの方なので、とにかく向上心の塊といいますか、僕自身本当に引っ張られるように良い影響を受けていると感じています」

─続いてはオールスターゲームについてをお伺いします。坂倉選手は初めての出場でしたがどのような2日間でしたか?

「初めての経験でしたので、本当に自分にとって大きい場所だったなと思いました」

─他球団の選手とお話されて、印象に残っていることはありますか?

「いろいろな選手と話をさせてもらったのですが、同級生の牧秀悟(DeNA)や、佐藤輝明(阪神)とかとは、野球の話や、普段の話もできたのでそのあたりは楽しめましたね」

─普段試合を見ていると、得点シーンで坂倉選手がとても喜んで楽しそうにしている姿が印象的です。チームの雰囲気はいかがですか?

「先輩方が僕たち若い選手がやりやすいように、環境をつくってくれていると思うので、そこで元気を出したり、声を出したり、一生懸命やるということが僕たちなりの恩返しだと思っています。そこでシュンとしていたり、自分の成績が伴わないからと言って、自分中心のプレーをするのは良くないと思っていて、チームプレーですから、なるべく元気を出してやりたいなと思っています。やはりチームが勝つために、点が入ったら、勝ちにつながることは間違いないので、そういう喜びが心から出てきているんだなとも思いますね」

─それでは最後に、プロ6年目を迎えられて、今季を振り返ると改めてどんな1年でしたでしょうか?

「毎年、毎年、楽しみにしているのですが、シーズンを戦っていく中で、辛い経験もしますし、良い経験もします。そのくり返しをする中で、やはり、そこに自分が負けてはいけないんだなと年々感じています。また来年に向けて、今の自分に少しでも打ち勝つ、壁にぶつからない、そういう強い意思と技術を、またもう一度心に留めて、来シーズンも頑張りたいと思います」

さかくら・しょうご
■ 1998年5月29日生、千葉県出身
■ 176cm/88kg、右投左打
■ 日大三高ー広島(2016年ドラフト4位)

【2022年 一軍成績】
143試合 打率.288 155安打 16本塁打 68打点

広島アスリートマガジン11月号は、新井貴浩新監督の軌跡を振り返る1冊! 広島を熱くする男が帰ってきた!新井貴浩新監督誕生 月刊誌でしか見ることのできないビジュアルも満載です。