新井貴浩監督就任後、初となった2022年ドラフト会議。カープは育成契約を含む全10選手を指名した。支配下指名7名のうち4名が投手、そのうち3名は社会人と、課題と言われた投手陣の整備とともに野手の育成にも注力する方針が垣間見える指名となった。

 新たな戦力として期待される選手たち。ここでは、カープがドラフト4位で指名した高校生捕手・清水叶人の強みと特徴を、アマチュア野球に詳しい安倍昌彦氏が語る。

「走らせない」技術こそが最大の武器

高崎健康福祉大高崎高・清水叶人

【高崎健康福祉大高崎高・捕手】
清水叶人 (しみず・かなと)
2004年7月6日生(18歳)/右投左打/176cm・83kg

  清水選手の特徴としては、健大高崎高で捕手をやってきたというところが大きいと思います。健大高崎高といえば、10年以上前から『機動破壊』というスタイルを掲げて、足で相手を粉砕するという野球を続けてきているチームです。

 そうした環境下で日常的に試合形式の練習をする中で、選手たちはファーストのリードオフ一つをとっても5種類前後のバリエーションで練習をしているといいます。その中で捕手をやってきたことは、彼の大きな武器の一つになるでしょうし、プロに入ったあとのカルチャーショックも小さくて済むのではないかと思います。

 また特筆すべき部分は、なんと言ってもディフェンス能力です。『走ったランナーを刺す』のではなく、そもそも『ランナーを走らせない』能力。目配り、牽制、そういうことに非常に優れた選手だと思います。

 あとは、長打力があるところも特徴でしょう。ホームラン性の長打力ではなく、ライナー性の打球が特徴ですから、タイプとしては坂倉将吾選手に近いものがあると思います。グラウンドでプレーする姿を見ていると、少しおとなしい選手という印象を受けました。これはプロの世界に入ってどれだけ変われるか、元気を出していけるかがポイントになってくると思いますが、もっとわかりやすく〝覇気〟を出せるような選手に成長すれば、より注目される捕手になっていけるのではないでしょうか。

広島アスリートマガジン12月号は、『恩師と選手が語る新指揮官の魅力』を特集。 新井貴浩監督の話をしよう。月刊誌でしか見ることのできないビジュアルも満載です!