◆法政大からかかってきた『1本の電話』

 我々は「カープ球団としては現時点では条件面について確定していません」と答えました。よって先方からすぐに良い返事がもらえるところまではいきませんでした。我々としては「他球団からもアプローチが来ているのかも知れない」と思いながら、「また後日伺いますのでよろしくお願いします」と言って練習場を後にしました。

 しかしその日の夕方に法政大側から電話があって、「廣瀬本人と話をしたら『広島なら行きます』という事だったので、よろしくお願いします」との回答がありました。こうして廣瀬からの逆指名を受ける事になり、ドラフト2位で獲得する事ができたのです。

 この2000年のドラフトは1、2位枠24名のうち18名が逆指名での入団という「無風ドラフト」と呼ばれた年でした。逆指名での目玉は中央大の阿部慎之助捕手(現・巨人一軍作戦兼ディフェンスチーフコーチ)、立命館大の山田秋親投手(元・ダイエー、ロッテ等)など。シドニー五輪組では山田投手のほか、JR東日本の赤星憲広外野手(元・阪神)が阪神に4位で指名されています。

 廣瀬を1位でなく2位で獲得する事になったのは、この年のカープが1位に高校生投手を獲得する方針だったからです。カープは1位に戸畑高の横松寿一を指名しましたが、他にも敦賀気比高の内海哲也(現・西武)、春日部共栄高の中里篤史(元・中日)、加賀高の田中良平(元・ロッテ)が高校生投手として1位指名されています。

 廣瀬と初めて会った時の印象ですが、やはり主将を務めるだけあって、礼儀正しくて几帳面な性格と感じたことが今でも記憶に残っています。

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