プロ野球・広島東洋カープ、サッカーJ1・サンフレッチェ広島をはじめ、多数のスポーツチームが存在する広島県。広島アスリートマガジンの連載《HIROSHIMA SPORTS NAVI》では、スポーツ王国と呼ばれる広島で活躍するスポーツチームから、選手自らがナビゲーターとなりチームや競技の魅力を紹介する。

 今回は、 ニューイヤー駅伝・ひろしま男子駅伝を間近に控えた『中国電力陸上競技部』から、菊地駿弥選手が登場。大学時代には箱根駅伝にも2度出場、駅伝のみならずマラソンでも活躍する菊地選手が、陸上競技の魅力や見どころ、そして年始に開催される大会への意気込みまで……熱い思いを語り尽くします!

第61回 中国実業団対抗駅伝で6区を走り、区間賞と最優秀選手賞に輝いた菊地選手

高校時代の悔しさが原動力。箱根駅伝では“花の2区”で力走!

 陸上を始めたきっかけは、小学校の持久走大会です。スタートで転んでしまって最初は最下位だったんですが、そこから順位を上げて最終的には『1番』になれたことで、「長距離は最後まで何が起こるかわからない」と感じて陸上のおもしろさに目覚めました。

 僕は高校時代、インターハイに行けなかったんです。「大学で見返してやるぞ!」という気持ちで陸上を続けてきて、最後の方では「なんとか追いつけたかな」という手応えを感じる瞬間もありました。そうした悔しい気持ちも原動力の一つでしたが、学生時代に出会った西山雄介選手(トヨタ自動車)や遠藤日向選手(住友電工)といった同期やライバルの存在も大きかったですね。今も実業団で走り続けている同期もいますが、僕自身は「自分が1番だ」という気持ちを、常に持ち続けるようにしています。やはり最後に勝ったひとが強いと思いますし、注目も浴びますしね。

 ライバルたちと切磋琢磨する中で、箱根駅伝にも出場することができました。実は、僕の兄(菊地聡之 元・選手、城西大)も陸上をやっていて、2016年の箱根駅伝にも出場したんです。その時に初めて生で箱根駅伝を観戦したのですが、それがすごくかっこよくて……それ以来、僕の中で箱根駅伝は『ヒーロー』的な存在になっていますね。

「目標は兄」と語る菊地選手。兄の聡之さんは、城西大在籍中に3度箱根駅伝に出場した。

 兄の競技に向かう姿勢や意識は、僕の大きな目標になっています。すでに競技を引退しているのですが、今でも僕の目標は兄ですね。“動きづくり”に意識を向けたり、食事に関することだったり……走ること以外の部分にも、すごく目を向けて取り組んでいたのが印象的でした。あとは小さな努力をコツコツ続けることも印象的で、兄のそういう姿を尊敬してきました。

 陸上の魅力は、「自分自身を変えられるところ」だと思っています。競技なのでもちろんタイムを競う部分もありますが、日頃の練習の中でも、誰かに出会ったり、その時しか見ることのできない景色を見ることができたり、いろいろな発見があるんです。自己ベストが出た時には「新しい自分になれた」ような感覚にもなれます。そうした達成感や、頑張ってきたすべてが報われるような感覚も、陸上の魅力の一つだと思います。