◆2014年は明らかに“悔しいCS決定”だった

 大事な試合になるとどうしても気負ってしまい、力が出せなくなるのだ。ここでこそ力を発揮しなければいけない場面で、もっとも気持ちが萎縮してしまうという悪循環。それを克服するためには練習量を増やせばいいのか、とにかく一度優勝という成功体験を収めるしかないのか、さまざまな考え方があるだろう。

 しかし、はっきりしているのは「競ったら絶対負けない」というチームをつくらなければ優勝はないということだ。元マラソンランナーの瀬古利彦さんではないが、トラックに入ったら絶対に負けないという勝負強さを身につけないかぎり、これ以上チーム力が向上することはありえない。

 問題点はあぶりだされている。あとはそれをいかにして乗り越えていくかというところなのだ。

 9月頭の首位決戦を3連敗。もちろんそれはショックだったが、しかしそれでもチームのモチベーションは落ちなかった。まだ優勝のチャンスは残されていたし、最低でも2位になって広島のファンにマツダスタジアムでCSを見てもらいたいと思っていた。それは言葉にこそ出さなかったが選手全員が思っている悲願のようなものだった。

 9月26日、甲子園で阪神に3対4で敗戦。しかし裏で巨人がDeNAに勝利したため、巨人のリーグ優勝が決定、それと同時にカープの2年連続のCS出場が決定した。くしくも同じ日に2つの事柄が確定したわけだが、チームの中ではCSが決まった喜びよりも、優勝できなかった悔しさの方が圧倒的に大きかった。

 それはファンの反応も同じで、2013年が“うれしいCS決定”だったのに対し、2014年は明らかに“悔しいCS決定”だった。それはこの1年の間にチームに求めるもののハードルが上がり、もはや「望むものはただ優勝」というのが僕らとファンの共通の認識になっていたことの表れでもあった。