来季からカープのコーチ就任が発表され、反響を呼んだのが新井良太コーチだ。新井貴浩監督の実弟として、2014年の阪神以来、同じユニホームに袖を通す。
ここでは、終始カープへの熱い思いを語った、新井コーチの思いに改めて迫る。
◆兄弟ならではの野球観で、若手の底上げを狙う
─コーチ就任は新井貴浩監督から直接連絡があったということですが、連絡があった瞬間の思いを改めて聞かせてください。
「『あ、来たか』という感じでした。本当に瞬時に『はい、分かりました』と言って、そこに迷いは一切ありませんでした」
─幼い頃から好きだった球団ということで、改めてカープのユニホームをコーチとして着ることへの思いをお聞かせください。
「カープが大好きでしたから、やっぱり心躍りますよね。まだユニホームは着ていないのですが、キャンプの時に練習用の服だけ着させてもらって、それだけでも赤いアンダーシャツ、赤い服を着ると、本当に高揚感があるというか、胸が躍るという気持ちでした」
─実兄である新井貴浩監督とは、かつて阪神で共にプレーをされ、再び同じユニホームを着ることになります。
「……最高ですね(笑)。まさか、もう一度同じユニホームを着れるとも思っていませんでしたし、それが選手ではなく、首脳陣側として、そして大好きなカープのユニホームを着ることができる……。いろんなことが重なって、“こんなことってあるのか”と思うくらいの出来事です。個人的には、うれしいですし、やりがいがありますし、最高だと感じています」
─これまで中日、阪神と外からカープをご覧になられ、どのような印象をお持ちでしたか?
「つながりがあり、チームの輪があるという印象でした。兄が“家族”と称してやっていた内情を知っていたということもあるのですが、“自己犠牲の精神”や、“For the team”の精神がすごく浸透しているというイメージがありました」
─外から見ていても『家族一丸』が伝わってきたということですね。
「僕が選手として試合に出ていた時は、カープが3連覇の時でしたから、すごく感じていましたね」
─阪神ファンのみなさんも非常に熱狂的なファンとして有名ですが、カープファンの方々についてはどのようなイメージですか?
「負けず、劣らずの熱いファンのイメージです。言葉で表現し辛いのですが、違った熱さと言いますか、地域密着感がより強い熱さというイメージがありますね」
─これまでの指導者経験で新井コーチが1番大切にされていることは何ですか?
「1番は“寄り添うこと”です。自分から言わず、とにかくしっかり見て、コミュニケーションを取って、信頼関係を築いて支えていく。そこが僕のコーチングの軸です」
─それは、これからも変わらない部分になってくるのでしょうか。
「僕が言って打てることもありますが、言ったことで打てなくなる可能性もあり、バッティングはデリケートな問題であると思います。その時思ったことを軽々しく言うというのは、ナンセンスかなと。ただ、これは傍から見れば何も言わず、仕事をしてなさそうに見えるんですよね。黙って、じっと真剣に見ることは、コーチからしたら非常に難しいんです。すごく言いたくもなるし、言ったことによって、自分も仕事をしたという感覚になりますしね。ただ、聞かれた時にしっかりと答えられるような、言葉、メカニックの構造などは勉強し、準備することを徹底しています」