「みなさんを喜ばせ、みなさんの心を真っ赤に燃えさせるようにしたいと思います」
2022年10月の監督就任会見で力強い言葉を発してから約3ヵ月が経過した。ドラフト会議、秋季キャンプを終えた新井監督が語った選手への思い、そしてファンへの思い。ここでは、監督としてのビジョンを語った独占インタビューをお送りする。
◆選手とのコミュニケーションはあくまで自然体。“カッコつけずに、自分らしく”
─秋季キャンプでの初指導を終えて、感じたことはありましたか?
「思った通りだったというか、これから楽しみな選手、まだまだ成長できる選手だらけだなと思いましたね。楽しみが増えましたし、みんな明るく、練習に対する取り組み方も一生懸命で、よりみんなが可愛くなりましたね」
─合流された初日、選手・スタッフを集めてお話されていました。新井監督としては、どのような思いがあったのですか?
「冒頭に、『選手が思っているよりも、自分はみんなに期待していること』、『好き嫌いでの起用を絶対にしないこと』この2つを伝えさせてもらいましたね。あとは、そのときに感じたことを言っただけですね。自然体で感じた言葉を伝えようと思っていましたね」
─秋季キャンプでは、練習中から選手のみなさんと積極的にコミュニケーションを取られていました。これは意識されていたのでしょうか?
「自分の方から声をかけるということは、あまり意識していないですね。声をかけよう、コミュニケーションを取ろうと意識しての行動ではなくて、自分としてはあくまで〝自然と〟でしたね。努めて声をかけようとは思っていなくて、自然と声をかけている感じです。自然に動いた結果があのような形になっているんだと思います。なので他愛のないことを話している選手もたくさんいますよ。『お父さん、お母さんはどこにいるの?』とか『実家はどこにあるの?』だとか……。普通の日常会話をしていることもたくさんありますし、これは自然ですね。ですので、意識してコミュニケーションを取らないといけない……と思って動いていたわけではないですね」
─監督として初めての仕事がキャンプ前のドラフト会議でした、いざ臨んでみてどのような感想でしょうか?
「監督に就任して間もない頃だったですし、初めてのことですし、それは緊張しましたね。そして、クジ引きにならなくてよかったなと思います(笑)。クジを引いて、外したときの監督の心境って、大変だろうなと思いますね……。今までは、見ているだけでしたが、今は自分が監督として指名する側、引く側ですからね。1位指名の場面でロッテの吉井理人監督と楽天の石井一久監督が抽選となってクジを引くとき、自分には関係なくお二人の抽選でしたが……、モニターを見ながら自分がドキドキしていましたね(笑)」
─監督として初のご経験となったドラフトが無事に終わりましたが、狙い通りでしたでしょうか?
「とても満足のいくドラフトでしたね。100点満点でした」
─1位指名は斉藤優汰投手(苫小牧中央高)でした。ドラフト翌日、北海道まで足を運ばれ、直接斉藤投手に会いに行かれた感想はいかがでしたか?
「やはり本人もドラフト1位で指名されたといううれしさと、逆に不安な部分があると思うんですよね。特に高校生ですから。斉藤君と同級生の息子(長男)を持つ親としても、やはり早く会いに行って、声をかけてあげたい気持ちがありました。自分から行ってきますと球団に伝えて行かせてもらいました」
─今までの感覚とはまた違った気持ちだったんですね。
「そうですね。彼はすごくしっかりしていて、しっかり考えて、しっかり発言できる選手でした。校長先生、野球部の監督やコーチとお話させていただきましたが、『勉強も学年トップで、野球以外の学校生活でも生徒の模範となるような自慢の生徒です』とおっしゃられていました。そういう意味でも楽しみですね」
─監督に就任されて、まだ数カ月ですが理想像はありますか?
「理想はまだないですし、分からないですね。いろんなところで言っているのですが、“こうなりたい”というのではなく、肩肘張るのではなく、自分らしく、一生懸命やっていこうと思っています。そういった中で周りの方が、“新井はこういう監督だ”と評価してくださるものだと思います。とにかくカッコつけずに、肩肘張らずに、自分らしく、自分が思ったまま、感じたままやっていこうと思っています」
─最後にファンのみなさまに向けての意気込みをお願いします。
「監督就任会見のときに『ワクワクさせられるような試合をお見せしたい』と言いました。ファンの方からの反応をいろいろと聞くにあたって、『すごく楽しみにしている』『待ち遠しい。今からワクワクしている』というお声をよくいただきます。本当に期待してもらいたいですし、球場をいっぱいにして、カープのチームカラーである真っ赤で染めてもらい、選手に力を与えてほしいですね。マツダスタジアムでみなさんをお待ちしています」