◆言い訳が心の底から嫌いだった

 もちろんうまくいかないとき、言い訳はいくらでもできる。だが僕は言い訳することはイヤだった。言い訳が心の底から嫌いだった。あくまでも結果がすべて。目の前の数字がすべて。それは野球であろうとビジネスであろうとなんら変わることはない。

 そう考えると、僕は曲げられない部分があったから変われたのかもしれない。言い訳はしない、結果を出す、現実の評価を受け容れる―そういう芯の部分を変えないためには自分のやり方を変えるしかなかった、方法論を変えられたから生き方の部分では変わらなくて済んだ―。やはり常に結果を出し続けるためには変わっていくしかないのだ。

 未来に目を向けてみれば、2014年末にはビッグなニュースも飛び込んできた。それはカープファンのみならず、日本とアメリカ、双方の野球ファンに衝撃を与える驚愕の決断と言っていいと思う。

 クロ(黒田博樹)が8年ぶりに帰ってくるのだ。20億とも21億とも言われるメジャー球団からのオファーを蹴って、推定年棒4億円とされるカープに戻ることを選ぶ……常識では考えられない彼の選択に、僕も胸を熱くした者のひとりだ。

 ただ、彼の復帰に関しては個人的に多少予感していた。クロが海を渡って以降、選手時代も監督時代も僕は彼とやりとりを続けていた。メールをしたり電話をしたり、帰国しているときには一緒に食事に行ったりした。