2010年から5年間カープを率い、25年ぶりの優勝への礎を築いた野村謙二郎元監督。この特集では監督を退任した直後に出版された野村氏初の著書『変わるしかなかった』を順次掲載し、その苦闘の日々を改めて振り返る。
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この5年間で僕は大人になったし我慢強くなったと思う。いろんな意味で成長させてもらった。自分でも「変わったな」と思うということは、周りから見たらもっと大きな振れ幅で変化しているのだろう。実際自分としても「よくここまで変われたな」という驚きがある。
人はなかなか変われない。特に自分ひとりで変わっていくのは難しい。だけど大きな目標を持ち、それを達成するためには変わっていける。たとえ目先のことにつまずいても、あきらめずに続けていれば、いつのまにか風景が変わっていたりする。
問題点に向き合い、時間をかけて一つひとつ解決していくことで、気がつけばできなかったことができるようになっている。それは僕ひとりだと絶対にできなかったことで、仲間や同僚のおかげでなんとか辿り着けたのだ。つまり僕は自分の力で変われたのではなく、周りの力で“変わらせてもらった”と思っている。
では、どうして僕はこれほど変化にこだわり、変化を求めてきたのだろう? その答えは悔しさの中にある。僕は選手時代も監督になってからも、ずっと悔しさを感じてきた。そして負けることや悔しさの中から強いモチベーションを生み出してきた。
「次こそは勝ちたい」「もう負けたくない」「良い成績を収めたい」……そんな気持ちに応えるためには、今のままじゃダメなのだ。そして「変わらざるを得ない」という結論に辿り着いた僕は、それを実際の行動に移した。