7月15日に再び一軍に昇格した小園海斗選手。地に足をつけたプレーで連勝に貢献した。

 7月19日の巨人戦から始まった今季二度目のV字回復のインパクトも強烈だった。連勝で借金6を一気に完済すると、8月に入っても好調をキープし首位・巨人とのゲーム差を詰めていった。7月18日の時点で『12』あった首位とのゲーム差は、8月6日のピースナイター終了時には『1』に。2位のDeNAも合わせ、3チームが1ゲーム以内にひしめくという大混戦の様相を呈していた。

 巨人の失速に助けられた部分もあるが、わずか19日(16試合)で11ゲームを詰めたことで『逆メークドラマ』という言葉もささやかれ始めた。優勝を争う相手が同じ巨人ということもあり、往年のカープファンの間では伝説の再現が日に日に期待されるようになっていた。

 『メークドラマ』とは96年シーズンにカープが巨人に大逆転を許したときに生まれた言葉だ。中盤までカープが首位を快走し、6月末の段階では巨人に最大11.5ゲーム差をつけていた。ところが7月9日の直接対決で、巨人が2回2死走者なしから9者連続安打で一挙7点を奪うなどして圧勝。このゲームを機に潮目が変わり、巨人が大逆転での優勝を果たすことになった。 

インパクト大の逆転劇だっただけに、長嶋茂雄氏が作った『メークドラマ』という造語は同年の新語・流行語大賞の年間大賞にも選出された。状況と酷似していることもあり、世間では当時の言葉を引用してカープのリーグ4連覇を後押しするような報道も増え始めた。

 当時の11.5ゲーム差に対し、今季のカープは12ゲーム差。ともに絶望的な数字ながら、少なくとも8月中旬の段階ではカープのクライマックス・シリーズ進出は、ほぼ確実視されていた。