思わず心を奪われる!カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、広島アスリートマガジンWEBで、新たなカープの魅力を切り取る。今回は「新人選手のキャンプ休日」について、オギリマ視点でゆる~く取り上げる。

◆休日体験を見ていくうちに気づいた真実とは・・

 2月。キャンプのスタートとともに、新しいシーズンの始まりを実感する季節がやってきた。そんな中、私はあるニュースを心待ちにしていた。「ルーキーのキャンプ休日」である。

 キャンプの休日に、ルーキーがキャンプ地で観光やさまざまな体験を行うイベントは、今や各球団の恒例行事となっている。しかしここ2年ほどは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で実施されてこなかった。今年は3年ぶりに「ルーキーの休日」が見られる訳だ。

 2月6日、一軍キャンプに参加している益田武尚、河野佳、長谷部銀次の3人のルーキーが、キャンプ地・日南市の古式弓矢である「四半的」に挑戦したり、うなぎのつかみ取りを行ったりしている姿が報道された。動くうなぎに怯む河野の姿を見て、微笑ましい気持ちになったのは私だけではあるまい。ルーキー達は初めてのキャンプで疲労もたまっているだろうが、ぜひ今後も存続していって欲しいと思う。

 ところで、さまざまな観光体験ができそうな日南市において、これまでのルーキー達の体験にはどのようなバリエーションがあるのだろうか。一軍キャンプが日南スタートとなった2013年(※注1)からの体験を追ってみた(カッコ内は参加選手)。

2013年:四半的、飫肥城周辺の人力車巡り、おび天試食(髙橋大樹、鈴木誠也、上本崇司※注2)
2014年:焼酎作り、オリジナルラベル作り(大瀬良大地、九里亜蓮、田中広輔)
2015年:四半的、飫肥城周辺の人力車巡り、おび天試食(野間峻祥、飯田哲矢)
2016年:金柑収穫体験(岡田明丈、横山弘樹、、船越涼汰、西川龍馬、仲尾次オスカル)
2017年:四半的、飫肥城周辺の人力車巡り(加藤《現・矢崎》拓也、床田寛樹)
2018年:木造帆船「チョロ船」乗船体験、地頭鶏炭火焼き試食(中村奨成、山口翔、ケムナ誠※注3)
2019年:いちご狩り、うなぎつかみ取り(小園海斗、島内颯太郎、正隨優弥)
2020年:焼酎作り、そば打ち(森下暢仁、宇草孔基、石原貴規)
2021年、2022年:開催されず
2023年:四半的、うなぎつかみ取り(益田武尚、河野佳、長谷部銀次)
となっている。傾向を見ると、四半的とそれ以外の体験を一年おきにやっているようにも見えるが、そうなると2019年の動きはイレギュラーである。

 また一つ気にかかるのが、各球団でルーキーが体験を行うため、同じ日南の地でキャンプを行っている西武とかぶってしまわないかという点だ。そこで西武のルーキー達の動向を見てみると、今年は蛭間拓哉ら3選手がいちご狩り、2020年は宮川哲らが飫肥石へのペイント体験、2019年は松本航らが日南の小学校を訪問して魚うどん作りを行っており、内容が重ならないようになっていた。

 このようにルーキーの休日体験を見ていくうちに、あることに気が付いた。それは「焼酎作り体験をした年のルーキーは新人王になる」ということである。

 近年のカープ選手の新人王獲得は、栗林良吏(2021年)、森下暢仁(2020年)、大瀬良大地(2014年)、野村祐輔(2012年)、梵英心(2006年)といったところだ。栗林は前述のように「ルーキーの休日」が無かった年だし、野村(空手体験)や梵(ヘビを首に巻く体験)は沖縄キャンプ時代なので何とも言えないが、森下、大瀬良はどちらも「ルーキーの休日に焼酎を作った」組である。

 こうなったら縁起を担いで毎年焼酎作りでもいいのではないか、とも思ったが、高卒ルーキーが体験に参加する年には無理である。今後ともルーキーには様々な体験をしてもらいつつ、そのニュースを楽しみに見ていたい。

 

※注1:前年までは沖縄スタートであったカープ一軍キャンプだが、球場の改修工事のため、この年は32年ぶりに一、二軍とも日南スタートとなった。

※注2:髙橋ら3選手は二軍キャンプ参加

※注3:中村ら3選手は二軍キャンプ参加

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オギリマサホ
1976年東京都出身。イラストレーターとして雑誌や書籍等の挿絵を手掛けるかたわら、2018年より文春オンライン「文春野球コラム」でカープ担当となり独自の視点のイラストコラムを発表。著書に『斜め下からカープ論』(文春文庫)がある。