現役引退を決めたカープ選手のこれまでの軌跡を振り返りながら、その野球人生に迫る広島アスリートマガジン人気企画『プロジェクトC』。

 今回は、15年間の現役生活を終え、2022年限りでユニホームを脱ぐ決断を下したカープ・安部友裕が登場。“覇気”を代名詞に、25年ぶりのリーグ優勝、球団史上初の3連覇に大きく貢献した男のドラフト指名、そしてプロ1年目の挫折を振り返る。

高校生ドラフト1巡目で入団した安部友裕氏(前列左)と、同期入団の現巨人・丸佳浩(後列左から2番目)

 高卒で同期入団は、丸(佳浩、現・巨人)と中村憲の3人でした。互いに意識し合っていたと思います。ただ普段から仲は本当に良かったので、切磋琢磨し合える戦友でした。誰が先に一軍に上がるのかも意識していましたね。結果的に丸が3年目に先に一軍に昇格しました。その時は羨ましい、悔しいというよりも単純に「俺も一軍でプレーしたい」という気持ちだけでした。

 僕のプロ人生で"下積み時代"となるプロ4年目までは主に二軍で過ごし、4年目にして初めて一軍に昇格しました。当時のことは緊張のあまり、あまり覚えていないのですが、2011年6月6日のソフトバンク戦に代打でプロ初出場をして、結果は三振でした。かなりの緊張でガチガチに震えていたのを覚えています。そして、プロ初ヒットは、千葉マリンスタジアムでのロッテ戦でした。9回に渡辺俊介さんからレフト前にヒットを打つことができました。この日は9番サードで初スタメンだったのですが、すごく緊張していましたね。初ヒットを打った瞬間は本当に無我夢中でした。この時は、一軍で出させていただいたばかりで、改めてプロの一軍のレベルの高さを感じたシーズンでもありました。ですが、4年目のシーズンを終えたとき、二軍では盗塁王を獲得することができて、少しばかりかの手応えも感じていました。

 あの頃、僕はショートをメインに守っていたのですが、やはり自分の中でもショートに対するこだわりは強くありました。当時一軍のショートには、2010年にゴールデン・グラブ賞を獲得された梵英心さん(現・オリックスコーチ)が君臨していました。良いお手本がチームにいるわけですから、僕としてはとにかく"球界トップクラスの守備を見て盗もう"という意識でいつも見ていました。

 思い返すと、下積みの4年間はがむしゃらでしたが、恐怖を感じて受け身の状態でプロに入れば、当然苦労します。その中で同期の活躍、自分自身の状況など、さまざまな葛藤がありました。プロ4年目までは、結果を求めるあまり、焦っていたと思います。『このままではいけない』と決心したときに、初めて野球に情熱を注げられるようになった感覚がありました。

 次回は、プロ5年目の2012年以降、一軍定着するまでの時期についてお話ししたいと思います。

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