約3カ月の延期を経て、ようやく6月19日に開幕したプロ野球。異例ずくめの2020年シーズンにおける、佐々岡カープの見どころとは!? 現役時代は俊足巧打の内野手として鳴らし、カープ在籍経験も持つ笘篠賢治氏に今季の見どころを聞いていく。第1回目は、開幕前の練習試合からさまざまな選手が務めてきた、1番打者争いについて語ってもらった。

脚力を生かした外野守備にも定評のある野間峻祥。

◆野間選手の長所である足の速さは本当に魅力的。1番で暴れまわる姿を見たい

 今季のカープを語る上で、さまざまなトピックが存在しますが、私が最も注目しているのは、ズバリ1、2番を誰が打つのかということです。3連覇中のチームを見ても分かる通り、カープというチームはいかに1、2番で塁上を賑わせるか、相手バッテリーにいかにいやらしい攻撃ができるかが浮沈の鍵を握っています。

 やはり筆頭候補としては昨季不振に終わり、今季復活が期待される新選手会長・田中広輔選手でしょう。もちろん彼の1番打者としての能力の高さはこれまでのシーズンで実証済みですし、2番を打つ菊池涼介選手との相性も抜群です。当然、首脳陣もそこに期待したい部分は大いにあると思いますが、今季に関して言えば、田中選手に必要以上の負担をかけない方が良いのではというのが私の見解です。

 というのも、田中選手は今季手術明けのシーズンとなりますし、何より選手会長1年目のシーズンです。選手のまとめ役として、目に見えない部分での疲労がたまる側面もあると思いますし、今季に限って言えば負担の少ない下位打線で起用してほしいと思っています。

 では、その1番には誰が適任かという問題が出てきます。練習試合を見ていると現状ではピレラ選手を1番に据えて戦っていく構想を持っていると思われますが、個人的には野間峻祥選手が1番打者に適任だと考えています。もちろん結果を出してその座をつかみとって欲しいと思っていますが、まだまだ伸びしろがある打者であり、何より1番打者として必要な脚力はチーム屈指の速さを誇ります。あれだけ足の速い選手が一塁にいたらバッテリーは警戒せざるを得ませんし、プレッシャーを与えることは間違いありません。

 また打順を組んでいく上では、守備力も考慮したいところ。野間選手の外野守備は安心して見ていられますし、ぜひスタメンとして起用してほしいと思っています。