本拠地・マツダスタジアムでの6連戦で4勝1敗(中止1試合)と好調な戦いを見せ、4月中旬には単独首位に浮上。開幕前の下馬評を見事にくつがえした新井カープを、OB・大野豊氏が独自の『視点』で解説する。

 開幕直後、大野氏が見た打線への期待とは。(取材は4月4日)

ヤクルト戦で今季1号を放つと、マツダスタジアムでの巨人戦では、2試合連続ホームランの活躍を見せたデビッドソン。

上向いてきた打線。捕手・坂倉の成長に期待したい

 今シーズンの打線を見ると、開幕当初はなかなかヒットが出ませんでした。3戦目こそ2点を先制しましたが、そこから先が続かなかったことで、試合を苦しくしてしまいましたね。

 デビッドソンがホームランを打つなど良い兆しも見えていましたが、打線のつながりという面では、今一つ振るわなかったという印象でした。そうはいっても、結果だけを欲しがって自分のバッティングを自分で崩してしまうケースもあるので、まずはどの選手も、しっかりと自分のスイング、自分のバッティングをすることを心がけてもらいたいと思います。今までやってきたことをもう一度思い出して、良い意味での反省をしながら1試合1試合に取り組んでほしいですね。

 バッテリーでは、坂倉将吾が開幕戦からスタメンマスクをかぶっていました。リード面や盗塁阻止といった面では、開幕直後は少し不安材料が残ったようにも感じられましたが、バッティングはバッティング、捕手の仕事は捕手の仕事として、緩急をつけたリードを意識してもらいたいと思います。今シーズンも期待のかかる、まさに『やってもらわなければいけない』選手ですから、失敗に関してはその原因を追求して、より良い方向に向かっていってもらいたいと思っています。それが坂倉自身の成長にもつながり、チームとしてもプラスになっていくはずです。

 やはり、打線が元気で点をとってくれればファンのみなさんも盛り上がりますし、ベンチも元気が出ます。投手が相手を抑えることも大切ですが、点を取らなければ元気が出ません。当然、僅差の試合で勝ち切ることも必要ですが、見ていてスカッとするような打線の爆発にも期待したいと思います。

 また、走塁や盗塁に対する意識も徐々に変わってきているという印象があります。トライをしなければ何も起こりませんから、そうした意識は常に持っていてもらいたいと思います。機動力を活かした野球をするためには、走塁や盗塁が得意な選手が塁に出て、相手にプレッシャーをかけていかなければなりません。選手の意識も昨シーズンに比べて相当変わってきているようですし、ベンチとしてもそうした動きをしてくると思います。

 カープが今年目指している、『カープらしい野球』、『カープらしい戦い方』に期待したいですし、それぞれの選手には、しっかりとした準備をした上で、「自分の投球、自分の打撃をするんだ」という思いで臨んでもらいたいですね。ここまでの良い流れに乗って、上位に浮上していってほしいと思っています。

広島アスリートマガジン5月号は、「まだ見たい!もっと見たい!」勝利を知る経験者たちの魅力をお届け!カープ3連覇を支えた投打の主力たちの現在地に迫ります。