3連覇を知る一人、會澤 翼選手が語るあの時のカープ、これからのカープ。そして捕手最年長となって、これから若手選手に伝えなければいけないこと。たくさんの思いを抱きながら、溢れる声援が戻ったスタジアムで、今シーズンも負けられない戦いに挑む。

2023年春のキャンプでの一コマ。リラックスした表情でキャッチボールをする會澤翼。

◆一緒になって勝つためにみんなで高め合っていく意識

─3連覇を経験されているなかで、あのころから変わったなと言う点は?

 「選手はもちろん、首脳陣といった人が変わっていますからね。選手が変わったらチームも変わります。秋山(翔吾)も入ってきましたし、そういった点では、チームが新しくなろうという分岐点になっているとは思います。若い選手がどんどん入り、捕手陣だけではなく野手、もちろん投手にも声かけをしています。坂倉(将吾)なんかは、よく聞きに来てくれます。でもまずは、自分でしっかりと考えるということは大切だと思います。しっかり考えて自分で解決できなかったことを、いろいろな人に聞くというのが、僕は大事なスタンスだと思います」

─今シーズンから捕手に専念している坂倉選手は、同じポジションを争っていますが、どう感じていますか?

 「それでもアドバイスをしますよ。リード面でもそうですし、こういう場面ではどう動けばいい? こういう球種を使う時はどうしたらいいですかね? など、いろいろなことを聞いてきますね。ライバルという感覚ではないですから。チームが勝つことが大前提なので、お互いに切磋琢磨して、高め合うことが大切だと思っています。今は、キャッチャー出身の藤井さん(ヘッドコーチ)も石原さんもいますから。僕はコーチではありませんから、若手を育てていくという感覚は持っていないですけども、一緒になって勝つためにみんなで高め合っていく意識は強いですね」

─30代になって感じる体の変化はなにかありますか?

 「やはり若い頃と比べたら、体力面とか辛くはなってきます。全部がしんどいですよ。朝起きるのもしんどいですし、若い頃なんて全然寝なくてもやっていけていましたもんね。だから、より体のことに気を使うようになりました。ただ、歳を取ったとか体が辛いと思わないようにしています。たしかにしんどいのには変わりはないですが、そう思わないようにしているのです。しんどいと思ってしまうと、そこで終わってしまう感じがしてしまって。でも、一方でそれを受け入れてやっていくことも考え方の一つだとは思っています」

會澤 翼(あいざわ・つばさ)

1988年4月13日生、茨城県出身、35歳。水戸短大付高(2006年高校生ドラフト3巡目)。強打の捕手として2014年頃から正捕手として多くの試合でマスクを被った。2016年から始まるリーグ3連覇ではチームの原動力となり、投手陣を牽引するだけでなく強力打線の一角として存在感を示す。2017〜2019年は3年連続でベストナインに選出された。

広島アスリートマガジン5月号は、「まだ見たい!もっと見たい!」勝利を知る経験者たちの魅力をお届け! カープ3連覇を支えた投打の主力たちの現在地に迫ります。