キラリと光る素材を見つけて、大きく育てる。球界でも一目を置かれるカープの選手育成方針。もちろんそこには、カープスカウト陣のたゆまぬ努力もある。ここでは『ドラフト6位入団』から、特に印象的な活躍を見せた選手たちに注目してみた。

2022年ドラフト6位の長谷部銀次投手。

■「カープ史上最強の代打職人」1989年ドラフト6位 浅井樹(富山商出身)
<通算成績>
1070試合 523安打 52本塁打 259打点 

 高卒打者で結果を残したのが、左の代打として活躍を見せた浅井樹だ。野茂英雄の1位指名に8球団が集中した1989年のドラフトでカープから6位指名を受けたのが浅井。ちなみに同期には1位佐々岡真司(現カープ一軍監督)、4位前田智徳と、後にカープの主力となる選手がいた。

 一軍初出場はプロ4年目の1993年で、頭角を現したのがプロ6年目の1995年。すでにレギュラーとして活躍していた前田智徳がアキレス腱断裂で戦線離脱となったことがきっかけとなり、一軍に定着。1996年には町田公二郎と左右の代打の切り札として活躍。1996年シーズン通算.339という高打率を残した。

 2006年まで代打を中心に、17年間カープ一筋でプレー。引退後はコーチとしても球団に貢献した。

■「空に向かって打つ!」1998年ドラフト6位 新井貴浩(駒澤大出身)
<通算成績>
2383試合 2203安打 310本塁打 1303打点 

 記憶に残る活躍、実績のインパクトがあるドラ6カープ戦士と言えば、新井貴浩だろう。松坂大輔(西武)、上原浩治(巨人など)などの指名に沸いた1998年のドラフトでカープから6位指名を受けて入団。同期の1位指名は東出輝裕(現カープ二軍コーチ)だった。

 大学時代に目立つような実績がなかった新井だが、ルーキーイヤーから一軍での出場機会をつかみ、7本塁打を記録。翌年以降も一軍出場機会を年々増やし、2005年には43本塁打で本塁打王に。その後は球界を代表する打者へと成長し、阪神移籍後に打点王(2011年)も獲得。カープ復帰後の2016年には2000安打を達成し、MVPにも輝いた。

 広島出身の大卒長距離砲という面ではカープに入団し、今年から楽天に移籍した正随優弥も同じ。新井のような“ドラ6からの這い上がり”を期待したい。

■「3年連続胴上げ投手」2010年ドラフト6位 中﨑翔太(日南学園出身)
<通算成績(2022年終了時点)>
392試合 21勝32敗 115S 73ホールド 防御率3.29

 斎藤佑樹(日本ハム)、大石達也(元西武)に人気が集中した2010年ドラフト。カープは大石の抽選を外すと、同じ早稲田大の福井優也(現楽天)を指名し、中﨑はドラフト6位で指名された。

 6位指名ながらも、中﨑はプロ2年目の2012年に一軍初登板を果たすなど12試合に登板。翌年からも徐々に登板数を増やすと、2015年にはシーズン途中にストッパーに抜擢され29セーブを記録。2016〜2018年には3年連続胴上げ投手となるなど、カープ3連覇のストッパーとして大きく貢献した。2019年以降は故障もあり悔しいシーズンが続くが、経験豊富な投手だけに復活が期待される。

◆過去5年間のドラフト6位選手

2018 正随優弥(現楽天) 2019 玉村昇悟(投手) 2020 矢野雅哉(内野手) 2021 末包昇大(外野手) 2022 長谷部銀次(投手)