昨シーズンはリーグ全34試合に出場し、うち32試合でスタメン起用。ほぼすべての試合で90分間フル出場を果たした左CBは、今季も広島の『鉄壁DFライン』をタフに支えている。今シーズン、広島9年目を迎える佐々木が見つめてきた、サンフレッチェの変化と進化。

 ファン・サポーターの期待と注目高まるなか、新たなタイトル獲得を誓うキャプテンの言葉をお届けする。

(取材は3月30日に実施)

試合前の声出しも、キャプテンの役割の一つ。(写真は2022年撮影)

◆全ての選手がサッカーと向き合い、より高みを目指していけている

ー佐々木選手がJリーグデビューされてから、今年で12年目となります。やはり1年目と現在とでは、周囲から求められる役割も変わってくるものでしょうか。

「シンプルに年齢を重ねてきたということもありますし、経験を積んだということもあって、自然と変化はしてきている思います。試合に出ているメンバーのなかでもキャリアが上の方になってきているので、僕のなかにも、多少なりとも周りを導いていかなければいけないという思いはあります。キャプテンをやらせてもらっているということもあるので、チーム全体を良い方向に向かわせるには、勝つためにはどうすれば良いか、ということは考えています。ただ、あまり深く考えすぎず、いつも通り取り組むことも意識していますね。広島でキャプテンマークをつけるようになって4シーズン目を迎えますが、このチームは、若い選手も含めそれぞれの選手がすごくしっかりしているんです。サッカーに向き合えていない選手がいるわけでもないですし、『みんなでより良くしていこう』という意識の選手たちばかりだと思います。信頼して、それぞれの選手に任せることができているので、実はキャプテンとしては、大してやることはないというか……(笑)。ただ、僕がサブでスタートの時は、アオさん(青山敏弘)がキャプテンマークをつけているので、アオさんに聞いてもらったら、もしかしたら『いやいや、そんなことないよ。いろいろ考えてるよ』って言うかもしれないんですけど(笑)」

ー佐々木選手には、広島アスリートマガジン2022年8月号にもご登場いただいています。当時はシーズン中盤で、徐々にチームの成績も上向いてきていたタイミングでした。佐々木選手は『是が非でも、最低あと一つタイトルを獲りたい』とお話されていましたが、ルヴァン杯でその目標が達成された今、新たな目標はありますか。

「まず、目標であったタイトルを獲得できたことは、すごく幸せなことだったと感じています。やはり、よりたくさんの星をつけることがこのチームのためだと思っていますし、広島というチームが、今後も良い方向に進んでいったり、素晴らしい経験をしていけるということは非常に大切だと思っています。そのためにも、タイトルに絡んでいけるような試合をどんどんしていきたいという思いはありますが、口で言っているだけではなかなか達成できないので、一つひとつの試合、練習に、厳しさも持ちながらしっかり取り組んでいかなければならないと感じています。あとは、まだ手にしていないタイトルもありますよね。天皇杯では昨シーズン、本当に悔しい思いをしました。僕自身も天皇杯のタイトルは持っていないので、そこも目指して戦っていきたいと思います」

ーそれでは最後に、今シーズンの意気込みと、ファン・サポーターのみなさんへメッセージをお願いします。

「今シーズンも、タイトルを目指して戦っていきたいと思っています。一戦一戦の積み上げがなければ優勝には届かないと思っているので、まずは目の前の試合をしっかり一つずつ勝っていくこと。それをチーム全体で目指していきたいと思います。また、今年はエディオンスタジアム広島のラストイヤーです。2024年には新スタジアムが完成し、僕たちのホームもそちらに移りますが、新スタジアムには新スタジアムならではの楽しみや試みもあると聞いています。エディスタで観戦すれば、新スタジアムとの違いもより楽しんでもらえると思うので、ぜひ現地に足を運んで観戦してもらいたいですね。今シーズンも、応援よろしくお願いします」

《プロフィール》
佐々木 翔1989年10月2日生、33歳/神奈川県出身
高い守備能力を持つ左CB。2022年シーズンは34試合ほぼ全試合で先発し、フル出場を果たしたタフな選手でもある。2016年に右膝前十字靭帯断裂の大ケガを負うが、2018年戦列復帰。2020年からは広島のキャプテンを任される。2023年シーズンは、青山敏弘の20年、柏好文・林卓人・柴﨑晃誠の10年に継ぐ在籍歴(9年目)となる。