巧みなバットコントロールで“天才”と称されるカープ打線を支える西川龍馬。今季は背番号5に変更となり、高い打撃力を発揮し続けている。 名実共にカープの看板選手となった男に、自身の打撃論、そして今季のチームについて聞いた。(全3回・1回目)

2023年の春季キャンプ、円陣の中央で挨拶を行う西川龍馬

◆素直な言葉で表現した日南キャンプでの声出し

─今シーズンは新井貴浩監督となりましたが、西川選手にとってはプロで3人目の監督です。新井監督が現役時代に共に戦っていますが、どう捉えていますか?

 「意識的に根本は変わらないですね。新井監督はうまくみんなを鼓舞してくれています。後はヘッドコーチの藤井(彰人)さんがうまくベンチの雰囲気をつくってくれていますし、そういう意味では首脳陣の方も声を出して盛り上げてくれていて、良い意味で選手は試合に入りやすくなったと思いますね」

─背番号「5」に変更となりました。プレーする上で気持ち的に変わったところなどはありますか?

 「あまり気持ち的には変わらないですけどね。昨年長野(久義・現巨人)さんとも話をして『つけてくれたらうれしい』という事で僕がつけさせていただくことになりました。その一言がなかったら、5番をつけていなかったと思いますし、長野さんに言っていただいたことが大きかったです」

─これまで背番号に対してはどのような考えをもたれていましたか?

 「背番号で野球をするものではないと思っていますし、『この番号がつけたい!』とめちゃくちゃ思うこともなかったですね。僕としては63番も嫌いではありませんでしたし、カープの出世番号だと言われていたので、そろそろ外してくれということですかね(笑)」

─今季は29歳となるシーズンです。後輩選手が増えるなかで、主力・リーダーとして意識する部分はありますか?

 「リーダーというよりも、僕の年齢も年齢ですし、年下の選手が増えてきたので、ある程度僕らが引っ張っていかないといけないと思うところがありました。野間(峻祥)さんを筆頭に引っ張っていこうという感じです(笑)」

─2月1日のキャンプ初日、円陣の声出しでの「今年はマジでいっちょやってやりましょう!」という言葉が印象的でした。

 「あれは自然に出た言葉で、なんとなくパッと出てきた言葉でした。大雑把なことだけある程度決めておいて、あとはその場で頭の中に出てきたことを言葉にしようと思っていました。あまり考えて喋っても、その通りにいかないので。その場で素直に出た言葉でしたね」

─今季はファンのみなさんの声出し応援、鳴り物応援が解禁となり、球場の雰囲気も変わっています。いち選手としてどのように感じていますか?

 「やはり良いですよね。気持ちも昂りますし、より試合に入っていけます。昨年までとは良い意味で違うと感じています」

─開幕から約1カ月が経過しました(5月上旬取材時点)。自身のプレーとチームの戦いぶりについてどう捉えていますか?

 「最初に4連敗しましたけど、その後にズルズル負けることなく連勝できて、全然戦えるなと思いましたし、手応えはもちろんあります。あと一歩のところを踏ん張って、接戦を勝ち切れれば上にいけるという感覚はあります。僕自身のプレーに関しては良いところもあれば、悪いところもあるので、今は50%くらいですかね。もちろん最初に比べたら感覚的に良くなってきているので、あとはコンスタントに良いプレーが出せていければと思っています」

中編につづく

広島アスリートマガジン6月号「彼らがスペシャリストの理由。」は現在好評発売中!【ご購入はこちら