『鉄板』と呼ばれるサンフレッチェの最終ライン。その一角を担う荒木隼人は、広島がリーグに誇る最強のCBだ。2022年シーズンの自陣空中戦ランキングリーグ1位に輝いたDFは、自身の記録や数字とどのように向き合っているのだろうか。

「今は広島のチーム力が試されている時」そう口にした荒木の、“記録への思い”、そしてスキッベ監督の印象を聞いた。

3バックの中央を担う荒木には、守備の要としての役割も求められる。

◆自身初の外国人指揮官。新鮮さを感じたスキッベ監督との出会い

ー荒木選手というと、空中戦の強さやフィジカルの強さがストロングポイントです。昨シーズンはJ1の『自陣空中戦ランキング』で1位に輝かれました。そうした数字や記録を意識することはあるのでしょうか。

「シーズン中は特にランキングや記録を意識するということはありません。そういう情報が入ってきて初めて知って、『ああ、このくらいなんだな』と感じる程度ですね。今シーズンもいずれ空中戦の記録や数字といったものが出てくると思いますが、ボール奪取やクリア数というところも自分なりに意識しています。これは具体的な数字というよりも、Jリーグのなかで、どのあたりに入っていけるのかなというところを意識している感じですね」

ー昨シーズンから指揮を執るスキッベ監督は、『前線からのプレッシング』を重視されています。チームの最終ラインを守るDFである荒木選手は、そうしたスタイルをどのように受け止めていましたか。

「現代サッカーにおいて前からのプレッシングというのはよくあることなので、驚くということはありませんでした。むしろ広島は選手全員がハードワークできることはわかっていたので、すごく合いそうだなという印象を持ちました。僕自身、今までたくさんの指導者にお会いしてきましたが、外国人指導者のもとでプレーするのはスキッベ監督が初めてです。新鮮に感じましたし、言葉の使い方や例えも分かりやすく、選手のモチベーションを上げるのが本当にうまい監督だと思っています。僕は今シーズンでプロ5年目ですが、年齢的にもキャリアとしても、年下の選手が増えてきました。年齢もちょうどチームで真ん中にあたります。中堅と呼ばれるポジションではありますが、今はまだ、『チームのなかでこういう存在でありたい』といったイメージは特にありません。自分らしく、ひたむきに、まっすぐ向き合っていれば、そんな姿を見た人たちがついてきてくれるのではないかと思っています。僕自身も若い頃、そうして先輩の姿を見て刺激を受けてきたので、そんな立場になっていけたら良いですね」