カープ加入2年目を迎える秋山翔吾。NPB通算1500安打を達成し、オールスターゲームにファン投票で選出されるなど、開幕から打線を牽引し続けている。ここではシーズン序盤からのチーム、自身のプレーについて語った独占インタビューの一部をお送りする(取材は5月末)

開幕からカープ打線の3番としてチームを牽引する秋山翔吾

◆3番に固定されていることで良いリズムで打席に臨めている

─新井貴浩監督体制でのシーズンも開幕から約2カ月が過ぎました。さまざまな監督の下でプレーされてきた秋山選手としては、新井監督の野球をどのように感じていますか?

「とにかく『初回はバントしない』というお話しのなかで、僕は開幕から3番を任されています。その方針がうまくいく場合と、相手投手とウチの投手とのマッチアップも含めて『何点取るか?』ということに、選手たちが想像しきれていない部分もあると思っています。バントで1点ずつ取るという積み重ねが大量点になるときもあれば、そうではない展開で大量点になることもあります。2番に入っている選手が何人かいるなかで、一貫して初回からバントをしていないというのは、戦いとして新井監督の特徴だと感じています」

─開幕から打順は3番に固定されていることについていかがでしょうか。

「西武時代は1番に入ることが多かったので、出塁することを中心に考えていましたが、3番になると心構えも変わってきます。選手として自分の居心地の良い打順があるにしても、固定されている方が前後の攻撃の流れであったり、『後ろの選手の状態が良さそうだな』などが分かりやすいです。僕の場合は4番が後ろにいて、状態が良ければ『ここはバントが良いな』とか自分で考えながら打席に入って、バントのサインが出たら『やっぱりそのサインだったな』というのもあります。あと、決めにかからなければならないという場面では、積極的に打ちにいくという考えもあります。たとえば、1番のキク(菊池涼介)が10球くらい粘ってくれた、でも2番の選手が1球で終わる場合もあります。今はそういう状況を見ながら打席に入ることができていて、良いリズムで打席に入らせてもらえています」

─開幕から打撃面で良い数字が残っています。

「好調だとはあまり感じていないです。トータル成績が残っているかもしれませんが、ここまで(5月末時点)しんどい時期もありましたし、ずっと好調ということはないです。『体調が理由』ということがないように、体調のコントロールだけは気を付けるようにしています。打てる、打てないというのは、相手投手との相性だったり、アプローチを変えたりして臨むようにしています。うまくいっている面も多くあると思いますが、僕のなかでは『悪いなりに1本出たな』だとか、そういうことが大事だったりするので、その積み重ねでここまできていると思います」

─秋山選手個人として、8年前から“ひとり親家庭”への支援を続けています。今シーズンから活動を再開されましたが、改めて、活動への思いを聞かせてください。

「自分と同じ、それに近い境遇の方々に向けての活動ですが、みなさんにとって1つのイベント事が野球だったりします。そういう選手がいるんだなと思ってもらって来ていただくということと、その場を提供できるということしか思い浮かばなかったのですが、継続したいという思いが強く、昨年はコロナの関係で実施できなかったんですけど、今年から改めてやりたいと球団にお願いして今の形になっています」

─ご招待された皆様とのふれあいは秋山選手にとって、どのような時間ですか?またその試合はいつも以上に力となるものですか?

「なるべく他の試合と差が出ないようにと思っていますけどね(苦笑)。やはり試合前に招待させていただいた方々に会うと、どんなにキツイ展開であっても、ヒット1本でも、守備だけでも『観に来て良かったな』とか、『この人に招待されてきて良かった』と、分かるような形になったほうが良いと思うので、少しだけいつもより気持ちは違うかもしれません」