7月26日、中学硬式野球ポニーリーグ『第49回全日本選手権大会』の決勝が、東京都の江戸川区球場で開催され、延長11回を戦って決着つかず。関メディベースボール学院ポニーとポニー佐賀ビクトリーの両チーム優勝となった。
◆コーチに捧ぐ全員で繋いた1勝
試合は竹下翔太投手(佐賀)と井上友吾投手(関)の両先発が上々の立ち上がりだったが、四回と六回に連打で繋いだ関が2点を入れ、2-0最終回を迎える。
「とにかく繋いでいこう」と佐賀・古澤 豊監督が選手たちに檄を飛ばすと、ドラマは2死から始まった。6番の松浦結太選手がこの日2安打目の右安打で出塁すると、8番の相原由汰選手の適時打で2-1。さらに満塁として「この大会彼の調子が良かったのが勝因の1つ」と監督が振り返る、田中楓真選手が打席へ。初球を振り抜いた田中選手の鋭い打球がセンターへ抜け、2点適打となり3対2と土壇場で逆転に成功した。
このまま試合が決まるかと思われたが、その裏には関も同点に追いつき延長戦へ突入。11回を終えて、どちらも一歩も譲らず『両チーム優勝』という形となった。
今大会から優勝チームは8月28日から開催される『1st エイジェックカップ中学硬式野球グランドチャンピオンシリーズ』への出場権は、両チーム優勝となったため、特例として出場権をかけての抽選となった。
各チーム9選手が打順に従いクジを引き、当たりくじの多いチームが、エイジェックカップ出場権を獲得する形となった。試合同様の緊張感の中で行われた抽選の結果、ポニー佐賀ビクトリーがエイジェックカップの出場権を手にした。
ポニー佐賀ビクトリーには負けられない理由があった。今大会2日目、主に2年生以下の選手を指導していたコーチが急忌したのだ。「試合は辞退しようと思っていました。でも奥様に相談をしたところ『彼はそれを望んでいません』と言われ……。コーチが勝たせてくれたのかな」と古澤監督は涙を滲ませた。「初めての大会でポニー代表として出場するので、少しでも良いプレーができるように準備したい」とエイジェックカップに向け、コーチの思いも背負い、決意を新たにした。
各リーグの覇者が集うエイジェックカップは、8月28日大阪シティ信金金庫スタジアム、8月29日阪神甲子園球場(決勝)で、中学硬式野球リーグの垣根を越えた大会として初開催される。