プロ6年目で初の開幕一軍の座をつかんだ若手左腕・塹江敦哉。7月2日までに中継ぎとして4試合に登板し、いずれも無失点を記録するなど、一軍定着へ好スタートを切っている。

 今季初登板となった6月23日の巨人戦(東京ドーム)を無失点に抑えると、その後もシチュエーションを問わず無失点と結果を残し続けている。開幕前からリリーフ陣の手薄さを指摘されていたチームにおいて、塹江の成長がもたらす影響は数字以上に大きなものだ。

  堂々の投球を続ける左腕にとって、突如乱れる制球に悩んでいた姿はもはや過去のものになりつつある。150キロを超える直球とスライダーを武器に強打者たちに勝負を挑む若鯉は、今ブレイクの時を迎えようとしている。

開幕から4試合連続で無失点投球を続ける塹江。手薄なリリーフ陣において、その安定感は何にも代えがたい武器の一つだ

 期待の和製左腕として毎年のように期待をかけられながら、塹江はプロ初登板を経験した16年以降は長らく一軍の舞台から遠ざかっていた。制球が安定せず痛打を浴びるシーンが目立ち、制球力の安定が課題となっていた。それでも周囲に支えられながら、地道に課題と向き合った。

 「150キロを投げてもコントロールが悪くて、追い込まれて甘い球を打たれるという、そういう自分のイメージを払拭したいという思いもありました。(小林)幹英さん(現三軍投手コーチ強化担当)や菊地原さん(二軍投手コーチ)につきっきりで見てもらって、だんだんと良い球が投げられるようになりました。やってきたことが一軍で出来なかったらこれまで協力してくれていた人たちを悲しませてしまうと思ったので、自分がやってきたことを見せるということを意識していました。そのままやってダメなら仕方ないと思ってやってみたら3試合連続で結果が出たので、そこは自信になりました」

 昨季7月に一軍昇格すると、中継ぎとして2016年以来の登板を果たした塹江。7月に登板した3試合はいずれも無失点と結果を残した。その後再び二軍落ちとなったものの、シーズン終盤には再び一軍昇格し自己最多となる11試合に登板。わずかな登板数ではあったが、塹江は確かな自信をつかみ始めていた。