8月15日、カープは引き分けを挟み6連敗で首位阪神との3連戦を迎えた。初戦は接戦の末、7対6でカープが見事勝利を手にした。西川龍馬の戦線復帰、4番不在時にチームを支えた、あのユーティリティプレーヤーについて、笘篠賢治氏が独自の視点で語る。

7月22日の中日戦から4番に抜擢され、チームを支えた上本崇司選手。

◆西川龍馬の戦線復帰で上昇気流に乗れるか

  8月8日に右脇腹肉離れで離脱していた西川龍馬が一軍復帰しました。同日のヤクルト戦では即4番でスタメン起用され、第一打席でいきなりタイムリーを放ちました。この日の試合は敗れましたが、チームにとっては非常に大きい出来事でした。

 好調だった西川の離脱はチームとして苦しく、当初は8月後半まで復帰が長引くことが予想されていただけに、このタイミングで復帰してくれたことは非常にプラスの材料です。6連敗で迎えた8月15日の試合でも4打数2安打2打点と、4番らしい活躍を見せてくれています。これから優勝争いに向け、再びチームを勢いづけてもらいたいものです。

 そして、西川不在の期間中に4番に抜擢されて、活躍を見せていたのが上本崇司です。4番に上本が入ったことで、チャンスを広げたい場面でも強行で打ちにいかなければならないオーダーではなく、どこからでもバントを使う“つなぐ打線”となっていました。

 最初にオーダーを見たときは、とても驚きましたし、おそらく抜擢された本人が一番驚いたことでしょう。今までの“4番”という固定観念を捨てた起用に、あの山本浩二さんも解説で「そういう発想は今までになかった」とおっしゃっていました。

 理想は4番に一発が打てる選手が座っていてほしいところですが、候補選手が不在なのであれば、あえて固執する必要はありません。まさに、新井貴浩監督の柔軟性を感じる起用でした。またそれに加え、選手それぞれが役割を全うしようとしており、本当の意味で“つなぐ野球”ができていたのではないでしょうか。どの試合も、誰か一人が目立って活躍しているというより、チーム全員でカバーしながら戦えている印象でした。

 本日の試合を含め、阪神との直接対決は残り9試合となりました。“優勝”を誰も諦めていないはずです。直接対決はもちろんですが、その他の試合では、あまり意識しすぎず、1試合1試合に集中して、ゲーム差が詰まっていくよう、戦ってもらいたいものです。