首位・阪神を追走するカープは、絶対に負けられない試合が続く。本日9月1日からは、マツダスタジアムに中日を迎えての3連戦だ。そんな重要な連戦の頭を任されたのは、4年目の左腕・玉村省吾。今季は7試合に登板して3勝をあげているが、8月5、20日の先発登板では続けて勝ち星をあげ、調子は上向きだ。そんな玉村省吾の魅力を、過去のインタビューを元に振り返ってみよう。

 今季の活躍が目立つ玉村だが、プロ1年目は二軍で登板したのはわずか1試合。その1試合も打者6人に6被安打。1アウトも奪うことなく無念の降板となった。しかし2年目、左腕は大きな成長を果たす。4月に一軍に昇格すると先発ローテに定着。6月にはプロ初勝利をあげた。負けを知り、それを成長の糧としたシーズンだった。
(広島アスリートマガジン2021年9月号でのインタビュー)

玉村省吾が、疲れがたまった投手陣を救う存在となれるか。

◆勝ち星が巡ってきたのは負けても使ってくれた監督のおかげ

─4月29日のDeNA戦(マツダスタジアム)でプロ初先発を果たすなど、数々の経験をした前半戦だったと思います。振り返ってみていかがですか?

「初先発から3試合連続で黒星がつきましたが、そんななかでも佐々岡(真司)監督に使っていただき、そのおかげで一軍の試合に慣れることができました。先発として試合をつくれるようになったのは収穫だと思っています」

─好投するもなかなか勝ち星がつきませんでした。焦りや不安もあったと思いますが、そういった気持ちとはどう向き合っていましたか?

「もちろん勝ちたい気持ちはありましたが、勝ち星を追い求めるのではなく、まずは試合をつくり〝勝ち星がつく状況をつくろう〟という気持ちで投げていました。ただ、連敗中は、踏ん張らないといけないところで失点してしまうなど、点の奪われ方が悪い自覚もあったので、試合を重ねるごとに課題を得て、それを解消するために練習を重ねる。それを繰り返したからこそ、勝ち星が巡ってきたのだと思います」

─プロ5度目の先発マウンドとなった6月18日のDeNA戦(東京ドーム)でプロ初勝利を飾りました。7回2失点、10三振を奪う快投でした。

「やっと勝ててホッとしたのが正直な気持ちです。勝利まで長かったですね」

─前半戦は2勝をあげましたが一軍で手応えを感じた登板はありますか?

「手応えと言えるかは分かりませんが6月10日のソフトバンク戦(PayPayドーム)です。4年連続日本一の強力打線を6回無失点に抑えることができたのは自信になりましたし、あの試合から、一軍のゲーム感覚がより分かるようになりました」

─5月下旬に一度登録を抹消されソフトバンク戦は再昇格しての登板でした。一軍での結果を踏まえ、二軍ではどんな調整をされたのですか?

「二軍の投手コーチと話し合い、ストレートの制球とチェンジアップのキレを磨くことに専念しました。この2つの課題を持ちブルペンで投げてきたのでその成果が出たのかなと思います」

─ほかに二軍投手コーチからのアドバイスで、一軍に上がってからも意識していることはありますか?

「昨年は三軍で強化指定選手の立場で練習してきたので、当時の三軍コーチ・小林(幹英)コーチには投球の基礎についてずっと教えていただきました。一つあげるのは難しいのですが、投手としての引き出しが増えたのは確かなので、それは成長の糧となっています」