新型コロナウイルスの影響で開幕が大幅にずれ込むなど、佐々岡監督が就任1年目から厳しい舵取りを強いられている。そんな状況下で、カープは開幕から4カード連続でビジターゲームを消化。長い遠征期間となるだけに苦戦も予想されたが、5勝5敗1分の五分と、まずまずの成績で乗り切ってみせた。ここでは監督就任直後のロングインタビューをもとに、佐々岡カープが目指す方向性を改めて探っていく。
(2019年12月号掲載)

昨年の10月7日に就任会見を行った佐々岡真司監督。

 監督に就任されて約1カ月が経過しましたが、やはりコーチ時代と普段の感覚は違うものですか?

 「基本は変わらないですけど、これまでのように投手の練習だけを見るのではなく、野手の練習も見なければいけません。チーム全体を見るというところが今までと違うところですよね。最初はどこで見るか迷うこともありながら野手を見て、投手を見て、という感じでした。周囲から『監督』と呼ばれることにまだ違和感がありますし、慣れていないから照れ臭い部分もありますよね(苦笑)」

 球団から監督要請を受けて、就任までに迷いはありましたか?

 「最初に球団から要請を受けたときは、まず、すごく光栄に思いましたが『自分で良いのか?』という不安もありました。どちらかと言えば気持ちの半分以上は不安な気持ちが大きかったです。要請を受けてからすぐに即答はできないので、家族と相談したいという気持ちを伝えて少しだけ時間をいただきました。そして1日よく考えて翌日には決断しました。僕としては緒方孝市前監督が来季も指揮すると思っていた中での辞任でした。そこから『次の監督は誰だ?』という中でいろんな噂もありましたし、急な展開でしたので決断するまでに不安はありましたよね」

 佐々岡監督は監督就任までに、コーチを5年間経験されました。指導者としての5年間は、佐々岡監督にとってどんな期間だったと言えますか?

 「まずファームで4年間投手コーチを経験させてもらいましたが、その4年間というのはすごく貴重な時間でした。自分自身現役時代も含めて、あまりファームという現場を知らない中でスタートしました。ですが若い選手たちと一緒に汗を流して指導してきたというのは自分としても大きな事でした。そして今季は一軍コーチとして育成から勝負というところに重きを置く場所を経験できました。今季は一軍投手コーチとして一軍の野球を見ながら、ベンチの中から野手の攻撃も見ることができました。そういう意味でもこの1年間というのも非常に大きな経験になりました」