現役時代を過ごしたH.C.栃木日光アイスバックスで指揮をとり3シーズン目を迎える藤澤悌史ヘッドコーチ。ここでは「今季は2冠を狙う」と打倒上位層に燃える指揮官に、9月16日にホーム開幕が迫る2023-2024シーズンに向けての思いを聞いた独占インタビューをお送りする(取材は9月5日)。

H.C.栃木日光アイスバックスで、3シーズン目の指揮をとる藤澤悌史ヘッドコーチ。

◆“良いディフェンスをすれば、良いオフェンスにつながる”

――まず、2022-2023シーズンの3位という結果を振り返っていかがでしょうか。

 「昨季はシーズンの出だしは良く、連勝スタートを切ることができました。ただ、中盤に差し掛かってくると激しいスポーツですので、どうしてもケガで離脱する選手が出てしまい、その時のマネジメントが難しかったと感じています。中盤で負けが増え、結果的には悔しいシーズンだったと受け止めています」

――状況に応じて、選手の起用面など、大きく変わった部分はありましたか。

 「シーズン中盤は少しだけシステムを変えました。それは目指すホッケーを変えたわけではなく、フォワード陣も積極的にディフェンスに参加させたり、パスの回数を減らして早いタイミングでゴールを狙えるようにしたりと、工夫をして乗り切りました」

――チーム別の勝敗で見るとやはりHLアニャンアイスホッケークラブ(韓国)など上位層にいるチームからいかに勝利するかが、キーになるように見受けられます。

 「現在はHLアニャンとレッドイーグルス北海道の2になっているので、そこを崩さないといけません。レギュラーシーズンはもちろん、今シーズンはプレーオフへ2チームしか進めませんので、必ず勝ち切る準備をしています」

――昨シーズンはプレーオフに進みながらも悔しい結果でした。今シーズンのここまでの仕上がりはいかがですか?

 「ここまでプレシーズンマッチを行なっていて、負けている試合もありますが内容としては良い調整ができていますので手応えを感じています。あとは細かい修正点は上がってきているので、チーム練習で修正し、万全の状態でシーズンインを目指したいと思います」

――今季のチームの強みはなんでしょうか。

 「やはり栃木日光アイスバックスはオフェンスのチームだと思っています。オフェンス力で見たらリーグ屈指のものを持っていると自負しています。その上で、パスワークからの得点というところは変わらず、ディフェンス面も今季はベテランの福藤豊に、新加入の大塚一佐、ソン・ドヒョンの3人のゴールキーパーを中心に、守備陣も固まってきています」

――ディフェンス力を高め、持ち前のオフェンス力でゲームをつくる戦い方ということですね。

 「最終的にゴールに迫るということは重要ですが、そこに至るプロセスを一番重視しています。パスでつなぐチームですので、ポゼッションを高めることを目指しています。そして、私は、“良いディフェンスをすれば、良いオフェンスにつながる”と考えていますので、選手に対してのアドバイスは、ほとんどディフェンスについての話しをしています。ゲームコンセプトへの理解、パスワークや守備といった能力を高め、最大の武器であるオフェンスへつなげるまでのプロセスを、いかに良い形で出せるかが大切だと考えます」

――今季のチームスローガンに込めた思いをお聞かせください。

「今季のスローガン『ALL A BOARD』は『出発進行』という慣用表現です。みんなで足並みを揃えて新シーズンに出発するぞという気持ちを込めてこのスローガンにしました。また、今季も新しい仲間を加えてのシーズンになるので、新加入の選手にとってもこれまで共に戦ってきた選手にとっても、新たな挑戦、思いを一つにしてという意味も込めています」