俊足巧打の外野手として期待され、育成ドラフト1位でカープに入団した名原典彦。北東北大学リーグで2度のベストナインに輝いた、持ち味の走力をプロの世界でも存分に発揮したい。地元・広島の期待を一身に背負って、真っ黒に日焼けしながら成長の日々を送る。

 

理論的に野球に向き合う、プロとしての成長過程

——楽しい時間というのはやはり、先ほどの廣瀬コーチからのアドバイスといった、新しい発見がある毎日だからですか?

 「高校や大学の野球と比べると、プロはやはり全然レベルが違います。学生のときは、野球の基本的なことを教えていただいていました。ですが今は、もっと細かい体の使い方や身体的なメカニズム、理論的な野球のアドバイスをいただけるので、日々成長できている実感が持てています」

——廣瀬コーチから、具体的にどんなアドバイスをもらっていますか。

 「スイングであれば、普通はバットの軌道に着目します。ですが軌道を向上させるには、まずは下半身、股関節の動きから意識しないといけないとか。『バッティング』という大きなことを意識する時には、それに関わる小さな事柄をしっかりと意識しなさいと言われます。小さな意識の積み重ねが、結果としてバッティングの向上につながると」

——技術だけではなく、意識的なことにも的確なアドバイスをもらえると、より自分に落とし込みやすいですね。

 「大卒で入団した僕に対して、廣瀬コーチは『おまえは高卒選手と一緒ではないからな。もう時間がない、だからできることを目一杯やって誰よりも早く成長しなきゃいけない』とも言われています。それは厳しい言葉ではありますが、僕に対しての期待してくれているのだと感じますし、その期待に1日でも早く応えなきゃと思っています」

——今シーズン(取材は8月3日)は、これまでウエスタンで39試合に出場されていますが、どんな印象を持っていますか?

 「やはり最初は、投手のレベルの高さや、スピードについていくのがやっとでした。でも最近はだいぶ慣れてきて、球がしっかりと見えるようになってきました。守備の時も、センターから全体を見渡せる余裕を持てるようになったことは、成長の一つだと感じています。打つ方はまだまだ課題が多く、やはりスイングの弱さは自覚しています。ですが入団当初よりもコンタクト率は上がってきたと思います」

——日々の発見や成長を重ね、どんな選手を目指しておられますか?

 「場面ごとにすごい選手がいますけど、僕にしかできないプレーを見せられる選手になりたいと思っています。たとえば、バッティングなら廣瀬コーチ、走塁であれば元西武の片岡(治大)さん、守備は天谷(宗一郎)さんといった、その道のスペシャリストの方々のプレーを参考にしながら、僕だからこそできるようなプレーを表現できたらと考えています。僕の武器は足なので、二塁打の当たりを三塁打に変えてしまうような走塁、逆に二塁打を普通の安打で止めておけるような守備です。『名原の足なら行けるだろう』と言われるくらいの、走塁や守備を見せることができる選手を目指しています」

——まさにカープらしい選手ですね。足が速いだけでも相手チームからの警戒度は上がりますから、名原選手が走り回る姿を1日でも早く一軍の試合で見たいです。それでは、これからの目標を教えてください。

 「今シーズン中に支配下登録という目標はありましたが、残念ながら今年は達成することができませんでした。ですから、まずは1日でも早く支配下選手となって、一軍で試合に出ることです。そして次にきちんとレギュラーを獲る。僕にしかできないプレーで、活躍することが目標です。応援していただける多くの方たちのためにも、日々成長しながら頑張っていきます!」

◆名原典彦 121
■なばら・のりひこ ■2000年6月24日生(23歳)■182cm/82kg 
■右投右打/外野手 ■広島県出身 ■瀬戸内高-青森大−広島(2022年育成ドラフト1位)