思わず心を奪われる! カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、広島アスリートマガジンWEBで、新たなカープの魅力を切り取る。今回は、今シーズンを通して感じた新井貴浩監督について、オギリマ視点でゆる~く取り上げる。

オギリマサホが待ち受けにしている新井貴浩監督(イラスト:オギリマサホ)

 2023年シーズンのカープの戦いが終わった。最後のクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージこそ3連敗で悔しい思いをしたが、それでも5年ぶりのCS出場に、ワクワクさせてもらった。レギュラーシーズンも終わってみれば2位と、「本当によくやった、ありがとう」という気持ちで一杯である。

 今シーズンを振り返ってみれば色々なシーンが思い浮かぶが、その中で最も強烈な印象に残っているのが「サヨナラ勝ちで喜ぶ新井貴浩監督」ではないだろうか。新井監督、というより新井さんは、1年を通して喜びを全力で表現していたように思う。

 そもそも現役の頃から、新井さんは全身で喜びを表現するタイプだった。しかし監督ともなれば、さすがにその喜び方は封印されるのかなと思っていた。ところが4月15日のヤクルト戦、秋山翔吾が逆転サヨナラホームランを放った際に真っ先にベンチを飛び出して出迎える新井さんの姿を見て、「あっ、現役時代と全く変わらない」と確信したのである。 

 既に4月の段階で、「全力で喜ぶ新井さん」の姿は話題になっていた。4月16日、田中広輔が満塁ホームランを放って勝利した後の監督インタビューでも、「監督が激しく喜ぶ様子が話題になっているが」と話を振られ「そうですか? 取り乱していますか? 大丈夫ですか? あまり興奮すると覚えてないので、気をつけます」と答えていたほどである(※注1)。

 最初こそ、ベンチを飛び出そうとする新井さんを、藤井彰人ヘッドコーチが抑える様子も見られていた。ところがほどなくして、藤井コーチをはじめとしたコーチ陣も、揃って喜びを爆発させるようになった。喜びというのは伝播するものなのかも知れない。

 監督にもいろいろなタイプがいる。怒りをあらわにするタイプ、無表情タイプ、古葉竹識監督のような隠れるタイプ……。新井さんは表現するなら「喜び噴出タイプ」とでも言えよう。

 その新井さんの喜び噴出の特徴として、両手を高く掲げてガッツポーズをすると同時に、ピョンピョン飛び上がることが多い。これまで喜びを爆発させる監督は数多くいただろうが、「飛ぶ監督」というのは新井さんが初めてではないだろうか。

 DeNAをマツダスタジアムに迎えてのCSファーストステージの第一戦、延長11回裏に秋山がサヨナラヒットを放って勝利した際、新井さんはかつてないほどの跳躍力で飛び上がり、そのままピョンピョンとグラウンドに飛び出していった。それは、われわれファンの気持ちを代弁するかのようなピョンピョンだったのである。

 来シーズンも、引き続き新井さんが指揮を執ることが既に発表されている。来年も新井さんが全力で飛び上がる姿が一日でも多く見られますように、と今から期待している。

※注1:「スポーツ報知」2023年4月16日