7月4日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中断していたJ1リーグが再開した。サンフレッチェは、アウェーの地でスター軍団の神戸と対戦。第1節の鹿島戦に続き、3対0で快勝した。

 2得点を奪ったレアンドロ・ペレイラ、最後までゴールマウスを守り抜いた大迫敬介など各選手が持ち味を機能するなか、攻守両面で存在感を見せつけたのがボランチの川辺駿だ。浅野雄也のJ1初ゴールを演出したスルーパスだけではなく、前線への飛び出しや神戸のカウンターの芽を摘み取るなど試合全体を通じて躍動した。

 川辺の今季に懸ける思いを紐解く意味でも、ここでは中断期間中に収録したインタビューを抜粋してお届けする。
(2020年5月号掲載)

昨季、リーグ戦全34試合に出場した川辺駿。今季は青山敏弘と共に、ボランチとしてチームを統率している。

─ キャンプインの段階から最高のスタートが切れたと思いますが、中心選手としてどのような思いで今季に臨んだのでしょうか?
 「もちろんタイトルを目指して臨みましたし、キャンプから十分すぎるくらい良い内容を残すことができました。昨季からメンバーも大きく変わらなかったですし、積み上げたものが活かされているのが大きいと思います。新しくチームをつくっていくのは大変ですけど、このチームに関しては継続して積み上げることができました。その成果が公式戦2試合だけですけど明らかに現れていたと思いますし、しっかり結果として出ているので試合がないのは痛いですけど良いスタートが切れたと思いますね」

─ 城福監督が今季のテーマとして掲げたショートカウンターやミドルシュートの意識も、かなり浸透していましたね。
 「前線からの守備というのは自分たちの特長になってきていると思いますし、その強度やスピード、量というのはまだ物足りない部分もありますけど、それでも今までの自分たちとは違う部分をピッチ上で出せていると思います。そこは自分たちにとっても良い驚きですし、相手チームからすれば『どうやって勝てばいいんだ?』と感じさせる嫌なチームになっていると思います」

─ 自分たちでも驚くくらいですか?
 「ボランチから後ろの選手だけで守備をやるのは簡単です。でも前線からチーム全員でやるのは、口で言うほど簡単ではないですし実際に体現するのは難しいことです。そういう意味では、昨年と比べても選手の意識は全然違います。与えられた役割を全選手がしっかりやるというところに関しては、日本人、外国人関係なく共通認識として持てていると思います」

─ 与えられた役割という意味では、今季からまたボランチを任される形になっています。こだわりのポジションだと思いますし、やはり気持ち的にも違うのではないですか?
 「そうですね。チームを引っ張るという立場は変わらないですけど、より自分が生きるポジションですし絶対に手放したくないと思っています。もちろん結果を示し続けないとすぐに奪われますし、そういう危機感を常に持ちながらプレーするようにしています」