2023年、WBCにおいて野球日本代表 侍ジャパンが世界一を奪還し、盛り上がりを見せた。多くの感動を与えた日本の世界一は、多くの野球少年少女たちにも大いに刺激となり、さらに練習に励んでいることだろう。

 『中学硬式野球マガジンWEB』では、中学生球児たちが気になるあれこれを、その道のスペシャリストに聞き、問題解決をしていく連載をスタートする。

 

 第1回目のテーマは、“オフシーズンのトレーニング“。進化を遂げる上で重要とされる、オフシーズンでのトレーニングを通し、より良いパフォーマンスを発揮させることは全カテゴリーの野球人に必要なことであろう。本連載では、各チームの練習を取材し、取り組み方や、強さの秘訣などに迫っていく。今回は、甲子園常連校の大阪桐蔭高が行う1日のトレーニングメニューを聞いた。

 言わずと知れた名門・大阪桐蔭高は夏の甲子園出場12回を誇り、大阪勢最多となる5度の優勝を誇る。今年はエースの前田悠伍(湖北ボーイズ-大阪桐蔭高-ソフトバンク)がソフトバンクからドラフト1位指名を受けるなど、多くのプロ野球選手や大学・社会人野球で活躍する選手を輩出している。

◆大阪桐蔭高 オフシーズンのトレーニングメニュー

【全体メニュー編】

 まず、体幹トレーニングとアップをした後、グラウンド10周(約3000メートル)のタイムトライアルを行う。日頃長距離走をすることはあまりないが、オフシーズンの土台づくりとして2日間実施し、翌日は空き日として設定している。

 約2〜3カ月で、60回程度を実施。内訳はグラウンド10周を30回、5周(1500メートル)を20回、3周(900メートル)を10回。さらに、毎回タイムを測定し、個人で設定した目標に挑戦することで、トレーニング効果はもちろん、「全力を出して挑戦すること、積み重ねること」を身に付けさせる狙いがある。

続いては、キャッチボール。通常のキャッチボールに加えて、以下を実践している。
①両足を固定してスロー
②アジリティからスロー
③サイドスロー
④クイックスロー

 上記のように、様々なスローを行うことで、スローイング力を養っている。

【野手メニュー編】

 

 続いては、野手メニューを紹介する。特徴的なのはシートノック終わりのミニボール回しだ。通常より半分の距離でダイヤモンドをつくり、「スローイング課題の復習として、正確性をより求め、その上にスピード感を出し、ステップ&スローを身に付けることができる」という目的がある。

 その後は、フリーバッティング・各種スイング・メディシングボール投げを3班に分かれて実施。各種スイングでは、ウォーキングスイングなど、日ごとにテーマを決め、自らのフォームに向き合う時間をつくっているそうだ。

 午後はセカンドアップ、体幹の後、ロングティーとティーバッティングを2班に分かれて実施。ロングティー20本×10セット内で、トランポリンの上で球を打つなど、下半身の力で打つ意識付けをしながらスイングする力を身につける。

 野手メニューはプレー内の動きを行いつつ、シーズン中に見つけた課題の修正や、体そのものの使い方を意識した練習内容であることが印象的といえるだろう。

【投手メニュー編】

 

 最後は投手メニューを紹介する。全体メニューが多い野手陣とは対象的に、投手陣は基本的に個別メニューを行っている。ブルペン入りもするが、体に動きを馴染ませる過程が多いことが印象的だ。「毎日ピッチングするよりも、ネットスローで体の使い方や、フォーム修正など、個別に設定されたドリルメニューを入れ、それを踏まえて翌日ピッチングをするパターンが多い」 とチーム関係者が語るように、基礎を重要としている。

 そして、ピッチング後はインナートレーニング含めたコンデショニングの時間となる。 また、全体のトレーニング以外にも、投手はメデシィングボールを使った、投球動作につながるメニューを各種ドリルとして行い効率の良い体の動かし方を学んでいる。時には夜間練習として、選手のコンディションに応じて、投手陣は追加メニューとしてインナーマッスルの強化や柔軟を行い、パフォーマンスの向上を目指している。

 投手と野手で大きく取り組み方が変わる、大阪桐蔭高の練習メニューはいかがだっただろうか。

 より詳しく知りたいポイントがある方はぜひ中学硬式野球マガジンWEB、公式Xをご覧になってはいかがだろうか。

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