カープ投手の「ABC分析」

小売業で最も重視しなければならないことは、商品(在庫)管理といわれる。この在庫管理に用いることができるデータ分析の一つとして「ABC分析」がある。これは全体の売り上げは、あくまでも一部の商品の売り上げに支えられているということを示すものである。この売上げの大半を占める売れ筋商品の在庫・品質管理こそ徹底すべきなのだ。

このABC分析を野球の世界に置き換えて考えてみよう。投手の役割はさまざまであるため一律には計れないが、今回は勝ち星を基準にしたABC分析でカープにおける“エース”を考えてみたい。

2016年のカープは、規定投球回数(143イニング)を超えた野村祐輔(16勝)、K.ジョンソン(15勝)、黒田博樹(10勝)の3人で、41勝/89勝をあげた。2017年は野村祐輔、大瀬良大地が規定投球回数を超え、岡田明丈、薮田和樹を合わせた4人で、46勝/88勝をあげた。

大瀬良は2018年、2019年と規定投球回数を超え、2018年には最多勝利(15勝)と最高勝率(.682)のタイトルを獲得した。上記に挙げた投手たちの名前をみればわかるが、2年連続で先発投手として活躍した投手は、こと近年のカープにおいては非常に少ない。

そうした意味において、先発投手として1イニングでも多く投げようとする大瀬良の姿は、矜持を持ってマウンドに立ち続けてきたカープの歴代エースたちと重なって見える。

2019年のカープ をABC分析した上で語るべきポイントがある。それはゴジラのように「ロングテール(長い尻尾)」を形成しているかどうかだ。この尻尾の長さは、若手選手の経験を意味する。かつての大瀬良がそうであったように、この経験とエースの背中が彼らをAランクへと駆け上がらせるのだ。