新井貴浩監督1年目となった2023年シーズンのカープは、全員野球で周囲の下馬評を覆す戦いを展開し、5年ぶりAクラスとなるリーグ2位となった。

 昨季新井カープの戦いの中で、話題の1つとなったのが「4番・上本崇司」だ。上本は2022年に「10年目のブレーク」を果たすと、2023年も背番号0は重宝された。守ってはバッテリーと一塁を除くすべてのポジションでスタメン出場し、打っては1番から8番でスタメン起用されるなど、“超ユーティリティープレーヤー”として、唯一無二の存在としてチームを支えた。

 ここでは、長い下積み期間を経てカープに欠かせない選手となった上本の入団から昨季までを改めて振り返る。(全2回・後編)

2023年は初の4番に座るなど、攻守においてユーティリティー性を発揮した。

《2013年〜2019年の前編はこちら》

◆2020年 初のサヨナラ打を放ち 涙のヒーローインタビュー

 2019年までは主に守備固めでの起用が多く、スタメンは6年間でわずかに7試合にとどまっていた。しかし、この年は50試合でスタメン出場を果たすなど、大きく飛躍した。8月には自身プロ初となる劇的なサヨナラ打を放ち、お立ち台では涙を見せた。

◆2021年 好調を維持する打撃に加え チームを救う好守も飛び出す

 新型コロナウイルスの影響で春季キャンプから無観客試合が続いたこのシーズンは、63試合に出場し15安打2打点。9月のDeNA戦では、ライナー性の打球をジャンピングキャッチをした後、一回転してフェンスに激突するという体を張った好守備を見せ、存在感を示した。

◆2022年 プロ10年目の大ブレイク! 恐怖の8番打者として存在感

 初の開幕スタメンを勝ち取り、打線のつなぎ役となって開幕6連勝の立役者に。地元開幕戦ではお立ち台に上がり、解説者・評論家らの軒並みの最下位予想に「やっちゃろうや!」とチームを鼓舞した。

 シーズンを通して安定した打撃を見せ、プロ通算477打席目での初アーチを含む2本塁打を記録。94試合に出場し、261打数80安打18打点といずれもキャリアハイ、規定打席には達しなかったものの打率.307をマークした。

 「10年目の大ブレイク」と注目され、相手投手からは「打席で粘り続け、三振をしない打者」と恐れられた。

◆2023年 つなぐ4番として打線を支える

 84試合に出場し、247打数64安打17打点8盗塁。守備では捕手、投手、ファースト以外の6つのポジションをこなし、打撃でも初の4番に座り「つなぐ4番」として起用に応えた。代打打率はチームトップの.467。国内FA権を取得したが、即座に残留を表明した。

【広島アスリートマガジン2月号】
上本崇司選手と堂林翔太選手が表紙を飾ります★!
▶︎広島アスリートマガジンオンラインショップ

▶︎Amazon