昨シーズン、プロ5年目で初タイトル「最優秀中継ぎ投手賞」を受賞したカープのセットアッパー・島内颯太郎。昨季はリーグ最多となる62試合に登板し、リリーフ陣の中心的存在として躍動した。
カープのブルペンに欠かせない存在に成長した背番号43は、プロ野球界に足を踏み入れた瞬間、何を思い、何を誓ったのか。 ドラフトに対するイメージと、スカウトに対する思いを聞いた昨季のインタビューを改めて振り返る。(全2回/前編)
◆プロ入り時の目標を1つクリア
─最優秀中継ぎ投手賞を獲得しました。心境はいかがですか?
「1つの目標をクリアすることができて、ホッとしているのと、すごくうれしい気持ちです」
─2019年3月号の本誌取材の際、『目標のプロ野球選手像は?』について、島内投手は『タイトルを獲る』と答えられていました。
「本当ですね!覚えていなかったです」
─5年目のシーズンで実際にタイトルを受賞されました。当時のご自身に言葉をかけるとしたら、何と伝えますか?
「やっぱり、良い年もあれば、悪い年もある中で、プロのマウンドはすごくプレッシャーがかかるし、心が折れそうになることもあるけど、挫けずに頑張れよ。ですかね」
─2022年はプロ入り後、最も少ない登板数に留まっていました。今季は飛躍のシーズンとも言える数字を残されましたが、昨シーズンと今シーズン(2023年)の違い、変化はどういったところにありましたか?
「2023年シーズンを迎える前のオフの時点で、正直『今年は気持ちを入れ替えて取り組まないと、 このままで終わってしまう』という思いがありました。なので、今シーズンはこれまでよりも、より野球中心に生活をしていかないといけないと考えていたんです。覚悟を持って臨んだ1年だったので、精神面ではそこが昨年と少し違った部分なのかなと思います。技術的なところとしては、『体を大きくする』ということを取り組んでいて、首脳陣の方々とも話し、やることが明確になり、いろんな面で今年は成長できたんじゃないかと思っています。それができた分、これだけ投げることができたんじゃないかという感じですね」
─シーズン前に、意識を変えたとのことですが、きっかけになる出来事などがあったのでしょうか?
「昨シーズンが終わった時点で、本当に不本意な成績だったので……。何かを変えないと、このまま一軍と二軍を行き来する選手で終わってしまうんじゃないかと思いました。それなら、オフからやらないと差はつかないと思いましたし、他の選手に自分が劣っている部分は、人一倍やらなければと思い取り組みました。意識的なところで変わったのはこのときですかね」
《後編につづく》