2018年11月にトレードでカープに移籍すると、加入1年目の昨シーズンはフル回転し58試合に登板。そして今季はストッパー候補の相次ぐ不調もあり、守護神を任されることなった菊池保則。7月8日のDeNA戦では、3点リードの最終回にストッパーとしてマウンドに上がり、ランナーを背負ったものの無失点で切り抜けてプロ初セーブをマークした。

 今やカープのブルペンに欠かせない男になった右腕は、どのような道のりを辿り、ここまで登りつめたのか? 昨季終盤に収録したインタビューから、改めて新天地での成功の秘訣を探る。
(『広島アスリートマガジン』2019年10月号掲載)

スコットに代わる守護神として最終回を任される菊池保則。

◆移籍初年度に懸けた想い

これまでのシーズンとはやはり充実感が違いますか?
「プロ野球選手は、一軍で投げて初めて仕事ができていると言えますし、すごく充実感はあります。良くない時期もありましたが、なんとかそこでも粘ることができましたし、楽天時代から含めて大きなケガをしたことがないのも、一軍で活躍できている一つの要因だと思います。高校時代から手術をしたことがないので、体の強さは自分のウリの一つだと思っています」

─ 改めてトレードのお話を聞いた瞬間はどのようなお気持ちでしたか?
「時期が時期でしたし、『事務所に来てくれ』と言われた瞬間にピンと来ました。一番最初に思ったのは、『どこのチームなのかな?』ということです」

─ 移籍先を聞いた時はいかがでしたか?
「リーグが違いますし、二軍でも対戦がなかったので情報がありませんでした。広島に知り合いもいなかったので、知らないところに行くという不安はありましたね」

─ 実際カープでプレーされてどのような印象を受けましたか?
「若い選手が多くて、元気のあるチームだなと思いました。キャンプの練習のときから中でみんな話しかけてくれたので、やりやすい環境でやれていると思います」

─ 新しい環境でスタートするシーズンでしたが、これまでと気持ちの部分で違いはありましたか?
「楽天から移籍するときにコーチに『移籍1年目が大事だ』という話をされたので、開幕からしっかりアピールしていこうと思いました。なかなか楽天でも結果が出ていなかったので、厳しい状況だったこともあり、チャンスを頂いた感覚でした。やっぱり第一印象が大事だと思っていたので、移籍初年度でしっかりアピールしていこうという思いは強かったです」

─ セ・リーグとパ・リーグの打者の違いは感じますか?
「大きな差は感じませんが、強いて言うならパの方が足が速い選手が多い印象があります。クイックは楽天時代に練習して体に染み付いていたことが、今に生きています。走者への対応で苦労することはありませんね」