いよいよ始まったJリーグ2024シーズン、開幕戦で2023年のアジア王者・浦和と対峙したサンフレッチェ広島は、〝満員御礼〟となったスタジアムを舞台に快勝。今シーズン初勝利を挙げた。

 ここではサンフレッチェ広島を愛するOB・吉田安孝氏が、今季注目の選手をピックアップする。激しさを増すチーム内競争を勝ち抜くためのポイントとは?(記事中のデータはすべて2月2日の取材時点のもの、全3回・第2回)

昨シーズンから複数ポジションで起用され、結果を残し続けている東俊希。

さらに激しさを増すチーム内競争。鍵になるのは〝複数ポジション〟に対応できる選手

 待望の新スタジアムでの1年目、ここで優勝争いに絡んでいくことができれば、広島サッカー界も、サンフレッチェ広島も、より盛り上がっていくはずです。もちろん、シーズンを通してどの試合も大切な試合ですが、特に開幕の5試合は重要になります。ここでどれだけの開幕ダッシュを見せることができるか、注目したいと思います。

 そして、力のある選手が増えれば増えるほど、選手間の競争はますます激しくなっていきます。出場のチャンスをつかむためにも、複数ポジションでプレーできるようになることも必要となります。例えば満田誠であれば、ボランチやワイドといったポジションでも起用されて結果を残していますし、東俊希も複数のポジションで見事にフィットしています。どのポジションであっても、自分の武器を発揮して勝利に貢献する。そうした選手が増えることで、監督の目指すサッカーがより形になっていくのではないでしょうか。そして、監督の理想に応えることのできる選手たちはそろってきています。スキッベ体制3年目のシーズンも、大いに期待をしたいと思います。

 また、今シーズンの注目ポイントの一つとして外せないのは、やはり新スタジアム『エディオンピースウイング広島』でしょう。

 先日、エディオンピースウイング広島の建設に携わった関係者から、直接話を聞く機会がありました。興味深い裏話をたくさん聞かせてもらいましたが、その中で、特に印象に残ったエピソードをいくつかご紹介します。

 エディオンピースウイング広島の特徴のひとつに、「県外から訪れた人が、広島を感じられる設計」へのこだわりがあるそうです。例えばメインスタンドの屋根。翼をイメージしている屋根ですが、あの屋根は、矢をぐっと引いたときの弓の『しなり』もモチーフになっているのだそうです。そして、コンコースの天井には光のラインが走っていますが、これは市内を流れる川の流れをイメージしています。そのほかにも、細かな部分に『三本の矢』のデザインが隠されているなど、見る人が見れば気が付く部分に、エディオンピースウイング広島の建設に関わったたくさんの人たちの思いが込められています。そうした部分にも注目すると、より一層、新スタジアムを楽しめるのではないでしょうか。