2024年のカープ春季キャンプは西川龍馬が抜けた外野ポジション争いが注目された。中でも、昨シーズンオフから期待の声が大きくなっているのが高卒3年目を迎える外野手・田村俊介だ。

 昨季終盤に故障離脱を余儀なくされたものの、6試合連続安打を記録するなど、大きな期待を抱かせるシーズンを送った。さらに3月に大阪で開催される侍ジャパンシリーズ2024のメンバー入りも果たした。ここでは、今季レギュラーポジション獲得が期待される背番号60の独占インタビューをお送りする。(全3回/2回目 ※取材は2024年1月)

一軍キャンプでアピールを続けた田村俊介

◆終盤に無念の故障も・・前向きに過ごしたオフ

─昨季二軍では1試合に1本安打を放つペースでした。

「感覚的には良かったのですが、二軍の試合の中でも悩む時期がありました。同じことをやっていても『なんか違う』とか『どうだったっけ?』と感覚がおかしくなったり……いろいろ悩みましたね」

─7月には一軍、二軍を行き来する時期がありました。

「悔しさがありましたし、“代打の難しさ〟を知りました。開幕してすぐの頃は、まだ“2、3打席あれば打てそう”と思っていたのですが、2回目に一軍に呼ばれたときに、そこでやっと代打の難しさを感じましたね」

─9月に昇格した際には即スタメン起用となりました。

「二軍でスタメンで出場しているときも自分の中で毎打席、代打のつもりで緊張感を持ちながら取り組んでいました。なのでスタメンで使ってもらった時は、正直なところすごく気持ちが楽でした」

─この試合では、5回(通算6打席目)にサイスニード投手(ヤクルト)から、プロ初安打を放ちました。

「初ヒットが出た時は、すごく気持ちが楽だったのでそういう気持ちで取り組んでいて良かったと思いました。ずっと代打で結果が出なくて、悔しかったというか、いろいろ悩んだ分、すっきりしたというか、報われたじゃないですけど、力が抜けて『やっと打てた……』って感じでした。一塁まで走っている時にすごくうれしくて力が抜けました」

─そこから6試合連続安打を放つ好調ぶりでした。

「調子が良かったというのもありますが、やっぱり初ヒットが出てホッとした分、気持ち的にも楽になり、勢いよくどんどん行ってやろうと思っていました。初球から振って、逆にこっちから相手の投手をビビらせてやろうというぐらいの気持ちで打席に立っていました」

─一軍と二軍の投手の違いをどのように感じていましたか?

「やはり一軍の投手はコントロールが良く、外も中もいっぱいいっぱいにきます。あとは、低めのストレートです。二軍だと見逃したらボールになる球が、一軍の投手だと低めの見逃したい球がストライクになってくるというか、垂れずにそのままスパーンってくるんです。そこからの落球、フォークとかもあったりするので、その見極めがすごく難しく印象に残っています」

─好調をキープしていた9月7日の中日戦で死球を受けて、その後離脱となってしまいました。

「あの試合も1打席目に二塁打が出て、初打点もかかっている打席だったので、『しゃ! いったろう!』と思いすぎたのが逆効果でした。自分が悪いんですけど、悔しかったですね。“初打点”っていうのをずっと思い込んで力んでいたのかなと……。そこが反省点だと思っています」

─その後チームはクライマックスシリーズ争いに入りました。田村選手も、故障がなければ、そのまま戦力として一軍でプレーを続けていた可能性がありました。どういう思いでチームを見ていましたか?

「出たかったとは思いますが、ケガがなくても、その先どうなっていたかは分からないですし、もしかしたら調子を崩して、チームに迷惑をかけていたかもしれないですし……。僕的には良い感覚のままシーズンを終われたので、プラスに考えて、来シーズンに向けて、良いスタートが切れるように、その感覚を維持しようと思っていました。落ち込んでいても意味がないですからね」

─ケガも癒え、秋季キャンプではさらに追い込まれていたと思いますが、秋季キャンプはどういうテーマで望まれましたか?  「福地(寿樹)コーチと取り組んでいたのですが、僕のタイプ的に、ゴロでアウトになるより、フライで“惜しかったな”という打球でアウトになる確率を高めていこうというテーマを掲げていました」

─長打を狙うイメージですか?

「そういう練習はしてたんですが、逆にフライを狙いすぎてゴロになることが多くて、そこはちょっと苦戦してました(笑)」

─侍ジャパンとの練習試合ではヒットを打ち結果を残されました。

「僕も侍ジャパンに入りたいっていう気持ちがあるので、アピールの場だと思っていました。日本の代表選手を相手に戦えることはなかなかないですから『やったろ!』って感じでしたね」

─ヒットを打ったことは自信につながりましたか?

「そうですね。しっかり自分のスイングをした中でヒットが出たので、それは良かったです。内容的にも四球も取れて、粘ることもできたので納得できました」

─良いアピールになったのでは?

「アピールになったかどうかどうか分からないですが、自分の中では良い試合だったなと思います」

─秋季キャンプを総括すると、満足のいく期間でしたか?

「ケガ明けにすぐ追い込みだったので、体力的にちょっと最初の方はきつかったですが、最後の方は頑張れました」