2024年のカープ春季キャンプは西川龍馬のFA移籍により1枠空いた外野ポジション争いが注目された。候補選手の中で期待される1人が末包昇大だ。プロ2年目の昨季、持ち前の長打で存在感を示し、初の二桁本塁打をマークした。
キャンプ直前の故障により出遅れているものの、チーム屈指のパワーを誇る右の長距離砲にかかる期待は大きい。ここでは、レギュラーポジション確保に燃える、背番号52の決意に迫った。(全3回/1回目 ※取材は2024年1月中旬)
◆きっかけをつかんだ8月
─シーズン後半戦は打撃で大活躍されました。印象に残る打席、きっかけを掴む打席などがあれば教えてください。
「8月19日の巨人戦で横川凱投手から16打席ぶりにヒットを打ってからですね」
─その打席にどのような背景があったのでしょうか。
「6月に一軍に上がったときは、二軍でやってきたことが出せて、ホームランも2本打てていました。ですが、そこから考え過ぎて悪い状態になっていました。8月に入って16打席無安打が続いていたのですが、監督、藤井(彰人)ヘッド、朝山(東洋)打撃コーチの4人で練習をさせていただきました。その直後の試合では代打で起用されて打てなかったのですが、自分のなかですごく良い感触があって、試合後に監督も良い感じだったと言っていただいていました。それで翌日にスタメン起用していただいて、そこから打てたヒットでした」
─技術とメンタルのバランスが大事なのですね。
「自分が状態が悪いときは、いろいろ考え過ぎてしまうんです。なので、負の連鎖がどんどん続いていくような感じになっていると思います。そこから抜け出せたというのは、やっぱり技術が身についたことによって、生まれるメンタル的な余裕もあったと思います」
─特に後半戦は良い打席も多くあったと思います。
「良い場面でホームランをたくさん打つことができたと思います。打点に関しても得点圏で打つことはできたので、自分の中でも成長だったと思いますし。点が欲しいところで点を取れたので、そういう良い部分はたくさん出ましたね」
─クライマックスシリーズ(以下CS)の舞台でも結果を残されましたが、自信につながる面もありましたか?
「今永昇太さん(現・カブス)は苦手だったので、開き直った結果でした。もちろん前日にチームが勝てていたということ、その試合で自分が打てなかった悔しさ、そういう要素もあって打てたんだと思います」
─良いイメージで終われたシーズンとなったのでしょうか?
「バッティングについては良いイメージがあって終えることができたと思います。ただ、CSファイナルステージの最終戦はすごく悔しかったですね。打てずに終わって、エラーもしてしまいました。2位になった独特の悔しさというか、目の前で優勝を決められて、阪神は日本一になってあれだけ特集されて……そういう悔しさはすごくありました」
《3回目につづく》